15年の全国倒産件数は8,812件 25年ぶりに9,000件割れの低水準

2016年01月15日 08:38

 東京商工リサーチの調査によると、2015年の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は8,812件、負債総額が2兆1,123億8,200万円だった。

 倒産件数は、前年比9.4%減(919件減)。7年連続で前年を下回り、1990年(6,468件)以来、25年ぶりに9,000件を割り込んだ。月次ベースでは、年間を通して1回も900件には達せず、倒産抑制がより際立った。要因としては、金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引される形で景気が底上げされていることも影響した。さらに為替の円安基調が続く中で、原油や鉄鋼関連価格の低下などの資源安も経営環境を緩和したとみられるとしている。

 一方、負債総額は前年比12.7%増(2,383億1,700万円増)で、3年ぶりに前年を上回った。負債100億円以上の大型倒産が15件(前年7件)と2倍増になったことが要因に挙げられる。このうち負債1,000億円超えは(株)MARU(旧:AIJ投資顧問(株)、負債1,313億円・12月)と第一中央汽船(株)(同1,196億700万円・9月)の2件(前年1件)が発生して負債を押し上げた。ただし、全体では負債1億円未満の構成比が71.7%(6,326件)を占め、小規模倒産が大半であることに変わりはないとしている。

 また、産業別件数では、10産業すべてで前年を下回った。建設業は1,686件(前年比14.1%減)で7年連続の減少。公共工事拡大などの影響から地区別では全国9地区のうち東北と九州を除く7地区で前年を下回った。また、小売業も1,211件(同2.7%減)で7年連続の減少。製造業1,290件(同8.0%減)と情報通信業371件(同5.8%減)は、ともに6年連続で減少した。

 卸売業1,375件(同1.3%減)と運輸業363件(同10.1%減)は、3年連続で前年を下回り、不動産業が273件(同19.7%減)、サービス業他2,136件(同12.4%減)、農・林・漁・鉱業68件(同29.1%減)がそろって2年ぶりに減少した。

 このうち、情報通信業とサービス業他を除く8産業は、1996年以降の過去20年間で最少件数となる低水準で、倒産の抑制ぶりを反映したという。
 
 地区別倒産件数は、9地区のうち九州を除く8地区で前年を下回った。このうち九州は前年同数の732件で、全国的な倒産減少が目立つ中で、唯一下げ止まりをみせた。地区内では大分(前年比45.2%増)、熊本(同9.2%増)、福岡(同7.5%増)で前年を上回った。九州の産業別では、建築資材卸などを含む卸売業(107→129件)や建設業(158件→161件)などで増加した。

 一方、関東3,412件(前年比7.7%減)と近畿2,221件(同10.8%減)がともに6年連続の減少。中部1,085件(同14.2%減)と中国383件(同14.3%減)が4年連続の減少。また、北海道279件(同7.3%減)と北陸200件(同20.0%減)が3年連続の減少。東北は320件(同7.7%減)で2年連続で前年を下回り、四国は180件(同9.5%減)で2年ぶりに減少に転じた。1996年以降の過去20年間では、9地区すべてで最少件数にとどまったとしている。(編集担当:慶尾六郎)