日やけ止め市場が年々伸びている昨今、2013年1月1日より、日本化粧品工業連合会による紫外線防止効果測定基準の改定が行われ、より注目が集まっている。
現在、この紫外線防止効果測定基準は2種類存在する。肌が真っ赤に焼けたり、水ぶくれができるなどサンバーン(肌が赤くなる日やけ)の原因となるUVB(紫外線B波)を防ぐ指標の「SPF値」と、一見、肌への影響は少ないように見えるが、近年の研究でシミやしわの発生に大きく関わっていると判明しているUVA(紫外線A波)を防ぐ指標である「PA値」。日焼け止めのパッケージにはこれらが併記されている。
今回、ISO(国際標準化機構)からIS(国際規格)として発行された基準を業界自主基準とすることになったようだ。今までと大きくは変わらないが、UVAを防ぐ指標である「PA値」については表示方法が変わる。この紫外線A波は、波長が長いため肌の奥まで到達し、シワの原因となるコラーゲンの変性など、長い時間をかけ気付かれない間に肌に悪影響を及ぼすと言われ、ここ数年、女性向けの日焼け止めでは「PA値」の強化は特に重要視されている。
具体的な改定内容だがより細やかな分類表示が可能となった。「PA」表示に、極めて高い防止効果を表す「PA++++」の表記が可能になったという。これまではUVAカット数値が2以上4未満のものはPA+、4以上8未満のものはPA++、8以上のものはPA+++と表示していたが、今後は2以上4未満のものはPA+、4以上8未満のものはPA++、8以上16未満のものはPA+++、そして16以上のものをPA++++と4段階で表示する。これにより、従来の製品で既にPA++++に値するものは表記を格上げするものも出てくる。また、新たなPA++++製品の開発も行われているという。新製品については、使用感との両立や技術的な部分で難航することも多いようだ。
「PA++++」の商品は高価になりそうだが、日やけ止めの中で比較的安価な製品でも、この前述の基準によりPA++++へと進化を遂げたものもある。例えばロート製薬<4527>は、日やけ止めブランド「メンソレータム サンプレイ」のラインアップから「サンプレイスーパーブロック」「スーパークール」「クリアウォーター」(各700円)を更に処方を強化し、最強クラスであるPA++++へとパワーアップしている。この「メンソレータム サンプレイ」は、1993年に強烈な紫外線を防ぐ日やけ止めとして誕生。以来、2012年6月現在まで累計1億個を突破するロングセラーブランドとなっている。特徴としては、日やけ止め独特の臭いを抑えた処方、また白くならない塗り心地など。また、手頃な価格帯も支持率の高い要因だと考えられる。さらに国内化粧品売上ナンバーワンである肌研(ハダラボ)ブランドからは「ヒアルロンサンUVクリーミージェル」(1000円)を発売。同製品は1本でUVカット・化粧下地・保湿の3つの機能があり、さらに3種類のヒアルロン酸が配合されているという。
また、約90年以上前から紫外線の研究に取り組み、1923年に日本初の日やけ止め「ウビオリン」を発売した資生堂<4911>は、12年連続売上シェアNO.1の日やけ止めブランド「アネッサ」の中味機能を進化させ、PA++++の紫外線防御効果を持つサンスクリーン(全3品目6品種・ノープリントプライス)を、2013年2月21日により発売する。併せてすでにPA++++防御効果を持つ既存のフェースサンスクリーンBB(全1品目2品種・ノープリントプライス)のPA表示をPA++++に変更し発売するという。
一昔前、日やけは健康的なものと称賛されてきたが、近年は紫外線が肌に与える悪影響が立証され、日やけ予防対策の商品が数多く登場している。また、太陽が出ていない曇りの時でも、紫外線は降り注いでおり、今や日焼け対策は夏場だけのものではなく、365日、ケアしなければならないことも判明しているようだ。たかが日やけと軽く考えず、紫外線の予防対策として、正しい知識を得てしっかりとケアしていきたいものだ。(編集担当:宮園奈美)