アベノミクス効果により、家計資産が3年連続増

2016年01月18日 08:09

 安倍晋三首相による「アベノミクス」効果により円安・ドル高が進み、対外純資産の円換算での評価額が膨らんだことなどが影響して、2014年末時点の国民が保有する現預金や株式、不動産などを合わせた家計資産残高が3年連続でプラスとなった。15日、内閣府が発表した国民経済計算によれば、14年末時点の家計の資産残高は前年末比1.4%増の2727兆1000億円であった。資産から負債を差し引いた正味資産も同1.2%増の2359兆4000億円であり、こちらも3年連続でプラスとなった。

 14年末時点の家計残高の内訳を見てみると、現預金、株式などの「金融資産」は同2.3%増の1695兆5000億円であり、土地や建物などの「非金融資産」は横ばいの1031兆6000億円であった。また、個人、企業、国、地方自治体が保有する資産から負債を差し引いた国富は、同2.0%増の3108兆5000億円であり、これで2年連続のプラスとなった。円安・ドル高が進行したことにより、対外純資産の円換算での評価額が膨らんだ。

 14年末の国富を所有者別に見てみると、全体の4分の3を占める「家計(個人企業を含む)」は円安にともなう株高の影響などにより同1.2%増の2359兆4000億円であり、これで3年連続のプラスとなった。13年末には1万6291円であった日経平均株価が14年末には1万7450円に上昇し、資産が膨らんだことが影響した。その一方で、国や地方自治体などの「一般政府」は13兆5000億円のマイナスであり、これで4年連続で負債が資産を上回る債務超過となった。国債の発行などにより債務超過幅が13年末よりも7兆6000億円増加した。

 国富の内訳を見てみると、「対外純資産」は、比較可能な1980年以降で過去最高となる366兆9000億円であり、これで4年連続のプラスと数値全体の押し上げに大きく寄与した。14年末の円相場が1ドル=119円80銭と、13年末比で14円43銭の円安であったことが影響する形となった。その一方で、国内の「土地資産」は同0.3%減の1118兆3000億円であり、これで7年連続でマイナスとなった。(編集担当:滝川幸平)