通販・ECサイトはその規模の拡大に技術職の数が追いついておらず、慢性的な人材不足に見舞われているといわれる。ちなみに次の入社先を決めてから退職をした人は54.3%。年収があがるとその割合も高くなり「今より良いところがあれば」とじっくりと選んでいることも分かった
昇給が見込めない、会社の業績に不安がある、希望する仕事に携われない…。さまざまな事情を抱え、転職を考えている人は多いだろう。そんな人に「朗報」となる調査結果が出ている。転職希望者1人あたりの内定獲得社数が増えているというのだ。
これは人材紹介・再就職支援サービスを行うパソナキャリアカンパニー<2168>が、25 歳から44 歳の転職経験者を対象に行った「転職に関する意識・実態調査」でわかったもの。最新の転職希望者1人あたりの内定獲得社数が1.76社で、12 年以降、年々増加している。特に35歳から39 歳のミドル層では1.5 倍で2.11 社へと大幅に増えている。企業側が若くてスキルを持つ人材を求める一方で、十分なスキルと経験を持つのは30~40代であることが要因と考えられる。
内定数が多いということは、それだけ中途採用を行っている企業も多いということだ。インテリジェンス<4847>が運営する転職サービス「DODA」が行った調査によると、2015年11月の転職求人倍率は前月比0.01ポイント減の1.17倍となったが、求人数は前月比1.2%増。12ヶ月連続で増加し、08年1月の調査開始以来の最高値を更新した。倍率が下がったのは、転職希望者数が同2.2%増えたことが影響したためだ。
業種別では、IT・通信業が2.51倍と最も高く、次いでメディカル関連(1.50倍)、サービス業(1.48倍)と続く。職種別では、IT・通信業の技術系が2.98倍と最も高く、次いで建築・土木業の技術系(2.15倍)、電気・機械業の技術系(2.02倍)と、技術職が売り手市場であることが分かった。
IT・通信業の中でも通販・EC業界専門は特に求人が多い。同業界専用の転職サイト「通販転職」を運営するアドブレイブの発表によると、15年の同サイトの全求人件数は前年比152%増の239件。このうちEC関連の求人件数は前年比4.4倍に急増した。同社はEC関連の求人案件が急増する理由として、通販業界でEC施策が進化していることや、人材育成に時間がかかる業界の特性をあげた。
年末にボーナスをもらい、4月入社を目指そうと今のタイミングで転職活動を始める人は多いだろう。今回のデータを見ると、転職の「35歳限界説」は既に過去であることがうかがえる。 (編集担当:久保田雄城)