15年末の投信残高、過去最高更新。NISAなどが影響

2016年01月20日 08:35

 2014年1月より開始されたNISA(少額投資非課税制度)が普及したことや、低金利の影響により、運用資産が預貯金から投信に移る動きが拡大し、15年末の国内公募投信の純資産残高が前年末を上回り過去最高を更新した。投資信託協会が15日に発表した投資信託概況によれば、去年12月末時点での一般投資家が購入可能な公募投信の純資産残高は前年末比4.6%増の97兆7562億円であった。前月末からは1兆1203億円減ったものの、前年末よりも4兆2517億円増加し、年末としては3年連続の過去最高を更新した。投信信託協会によれば、低金利の長期化にともない、預貯金で運用されていた資金が当院に向かう傾向が強まっているとのこと。

 純資産残高の増加の背景には、低金利だけでなくNISAの普及も一役買っている。ただし、前月末からは減少しており、これは日米の両市場での株価下落の影響を受けて運用が低迷したことが要因と思われる。

 新規設定から解約・償還を差し引いた金額は同84.4%増の12兆6289億円で、流入超過となった。これで04年から12年連続の流入超過であり、1969~79年の11年連続を上回り最長となった。しかし、運用損や分配金の支出により運用増減は8兆3772億円のマイナスであった。米国株の下落により、海外の株式や債券を組み入れた商品の運用が振るわなかったことが影響した。そして分配金を支払う前の運用損益は1兆9605億円のマイナスであり、ヨーロッパの信用不安や円高を背景に株価が低迷した11年以来、4年ぶりの運用損となった。中国経済の先行きへの不安が高まったこと、そしてニューヨーク株式市場でダウ平均株価が7年ぶりに下落したことのほか、ブラジルやインドネシアなどの新興国で投資環境が悪化したことなどが要因となっている。

 公募投信残高の大半を占める株式投信は、同6.0%増の81兆7382億円であり、前年末より4兆6428億円増えて2年連続で過去最高を更新した。15年末の日経平均株価が前年末比9%増だったことや、NISAの普及が増加につながった。(編集担当:滝川幸平)