「最近、紙を使わなくなった」と思うことがある。かつて、何かをメモする時、あるいは誰かに伝言を残す時、大抵は紙を使っていた。しかし、今では何かをメモする時にはスマートフォン(多機能携帯電話)のメモ機能でこと足りる。誰かに伝言を残す時にはメールを送ればいい。そこに、紙が入る余地はない。紙だと、大切な内容をメモしたにもかかわらず失くしてしまうこともあり、伝言を残すにしても、紙だときちんと相手に伝わるかどうか不安になる。しかし、スマートフォンやメールなどの電子媒体であれば、そうした心配は少ない。こうして私たちは、様々な場面で紙を使わないスタイルにシフトチェンジしていった。
こうした現状を如実に示す発表が、20日、日本製紙連合会によってなされた。日本製紙連合会は同日、2015年の紙と板紙の国内出荷量を発表。それによれば、国内出荷量は前年比1.5%減の2494万1000トンであり、これで2年連続のマイナスとなった。さらに、比較可能な統計がある1988年以降、88年の2394万2000トンに次ぐ、過去2番目に低い水準であった。
紙と板紙の国内出荷量が過去2番目の低水準となった背景には、冒頭で挙げた「紙を使わないライフスタイルへの変容」のほかに、少子高齢化も影響しているという。国内出荷量のピークは00年の3053万2000トンで、これと比べると15年は20%近く減少している。
15年の国内出荷量の内訳を見てみると、印刷や衛生用紙などに使用される紙は同2.5%減の1393万4000トンで、段ボールや包装資材などに使用される板紙は同0.2%減の1100万7000トンとなっている。なお、同日に発表された15年12月の紙と板紙の国内出荷量は、前年同月比1.1%減の213万6000トンであった。紙は同2.3%減の119万1000トンで、21ヶ月連続の減少。板紙は同0.3%増の94万6000トン。主要品種のうち、情報用紙、衛生用紙、段ボール原紙以外が減少した。
そして日本製紙連合会は、16年の見通しについて、国内出荷量に輸入量などを加えた国内需要で、前年比1.1%減の2657万5000トンとしている。(編集担当:滝川幸平)