日本が世界をリードする! 次世代の不揮発性メモリに高まる期待

2016年02月06日 19:27

メモリ

実用化とともに世界的に注目され始めた「不揮発性メモリ」市場。ロームや東芝等、この分野で世界をリードする日本メーカーの技術に期待が高まる

近年、あらゆる分野で省エネ化が進んでいるが、省エネと一口にいっても大きく二つある。

一つは、環境問題に配慮し、無駄を省くことでエネルギー消費量を減らし、資源の節約やCO2の削減に貢献しようとする省エネ。そしてもう一つは、1つのパッケージ内で供給される限られた電力の中で、より高度な技術を効率よく扱うための省エネがある。車載や産業機器、IT機器などの分野では、世界各国の電子部品メーカーが今、あらゆるアプリケーションでシステム全体の低電圧化、省電力化に向けてしのぎを削っている。

とくにパソコンやスマホに搭載される電子部品は、省エネに加えて微細化も求められるうえ、当然、正確さや処理能力、さらには耐久力も求められる。しかも、高機能化が進めばそれだけ、扱うデータ量も増えるから大変だ。

 中でも今、最も注目されている技術として「不揮発性メモリ」がある。不揮発性メモリとは、電源供給がない状態でも書き込まれたデータが消えない半導体メモリの総称だ。一方、同じく半導体メモリの中でも、電源が供給されなくてはデータを保持することができないSRAMやDRAMなどのようなメモリは「揮発性メモリ」と呼ばれている。

 この不揮発性メモリについて、省エネの観点からも関心が高まっており、各メーカーが技術開発に積極的に取り組んでいる。例えば、米Intel社は昨年7月、Micron Technologyとの共同研究によって、新構造を採用した次世代の不揮発性メモリ「3D XPoint」を開発、量産開始を発表している。不揮発性メモリとしては現在主流のNAND型と比較して、最大1,000倍の高速化と耐久性向上が見込めるといわれている。

 また、東芝<6502>は2月2日、三重県四日市市にある四日市工場の隣接地約15万平方mを約30億円の費用で取得し、3D NANDフラッシュメモリ「BiCS FLASH」用の製造棟を建設すると発表している。しかも同社では、近い将来に3Dメモリの需要拡大を見越し、これ以外にも専用工場を建設する構えを見せている。

 さらに、ローム<6963>のグループ企業・ラピスセミコンダクタも、同じく2月2日、超高速シリアルバス搭載強誘電体メモリ「FeRAM」 (MR44V064B / MR45V064B)の開発を発表した。同製品は、不揮発性メモリとして、業界トップクラスの最低動作電圧1.8Vを実現。低消費電力化で単4電池2個で約11年の書き換え動作も可能となった。また、64Kビットのデータ書き換え時間がわずか1.64msecという業界トップクラスの高速動作も実現。停電などの予期せぬ事態が発生しても、直前までのデータをバックアップできる。

 実は、日本企業はこの分野で今、世界を大きくリードしているといわれている。自動車や産業機器、PCやスマートフォンなどへの搭載だけでなく、高速データバックアップが必要なスマートメータ、ヘルスケア機器、さらには昨今注目を集めているIoT・モノのインターネットでの様々な製品への採用も進んでおり、今後のIoTの進化にも貢献することが期待されている。(編集担当:藤原伊織)