復活ののろしとなるか?ソニーが2年ぶりに黒字

2016年02月06日 18:25

 ここのところ不振がずっと続いていたソニー<6758>の、復活ののろしとなるのだろうか。29日、同社が2015年4~12月期連結決算を発表。それによれば、売上は前年同期比0.1%増の6兆2816億円、営業利益は前年同期の2.3倍の3870億円、最終損益は前年同期が191億円の赤字であったのに対して、2361億円の黒字であった。こうして黒字となるのは、2年ぶりのことである。未定としていた期末配当は10円とし、年間配当は20円となる。前期は無配だった。今回の結果に関してソニーは、会社全体の収益構造は改善してきていると、復活に関して自信をのぞかせている。

 今回、ソニーの2年ぶりの黒字を支えた要素、それは金融事業とゲーム事業だ。ソニー生命を中心とする金融事業の営業利益は1394億円であり、全体の約1/3を占めている。ゲーム事業についても、人気ハードの「プレイステーション(PS)4」の販売が好調に推移したことにより、黒字化を推進した。なお、「プレイステーション4」は過去のプレイステーションシリーズと比べて、最速で累計販売台数3500万台を突破している。こうしたことからソニーは、「プレイステーション4」を成長をけん引する重要な領域と位置付け、今後も積極的な投資を続けるとしている。

 こうして復活ののろしを上げたかに見えるソニーの業績だが、懸念材料がないわけではない。これまで好調が続いていた画像センサーなどのデバイス事業の伸びに、変化が現れ始めている。デバイス事業は同社にとって金融事業に次ぐ収益柱で、14年度のグループ連結営業利益685億円のうち、デバイス事業は890億円であった。しかし、これまでスマートフォン(多機能携帯電話)のカメラなどの使用により好調さをキープしてきた同事業も、今回の決算では存在感を示していない。これが「ソニーの復活」を阻む材料になるのではないかと、不安視する向きもある。

 なお、16年3月期の業績予想については、売上高で同3.8%減の7兆9000億円、営業利益で前年の4倍以上の3200億円、純利益で1400億円を見込んでおり、不安視される懸念材料を振り払い、09年3月期からの赤字体質から脱却できるか、今後の動向に注目したい。(編集担当:滝川幸平)