「児童虐待を見ても通告しなかった」は1割―東京都調査

2016年02月10日 09:55

 子育てに悩んだ親の4割が子を虐待しそうになった――東京都が行ったアンケート調査で明らかになった。一方で、「虐待を見聞きしたが通告しなかった」も1割近くいた。都が行ったのは「虐待について」というインターネットモニター調査。昨年12月に行い、20代以上の男女237人から回答を得た。

 「子育てに悩んだことがあるか」を聞いたところ、「ある」が56.5%だった。そして、「ある」と答えた人に「子供を虐待しそうになったことがあるか」を聞いたところ、「ある」が40.3%、「ない」が 56.7%だった。

 子育てに悩んだ原因(複数回答)は、「子供のしつけや行儀に関すること」が57.5%でトップ。「子供の成績や進路などに関すること」(49.3%)、「子供の心身の発育・発達に関すること」(48.5%)が続いた。しばしば指摘される“ママ友”とのつきあいである「子供の親同士や近隣の人とのつきあいに関すること」は26.1%だった。悩みの中心は子供本人にかかわることであることがわかった。

 そして、子育てに悩んだ時「相談先で役に立ったのは誰(どこ)か」を聞いたところ(3つまで回答)、「配偶者・親・親戚」が53.7%、次いで「知人・友人・同僚」が43.3%だった。公的な支援機関である児童相談所と子供家庭支援センターは3~6%にとどまった。一方で「誰(どこ)にも相談していない」が9.7%、「相談したが役に立たなかった」も8.2%いて、悩みの複雑さが浮き彫りになった。

 また、「近所で児童虐待に気付いた場合、もしくは虐待を疑われる場合に通告するか」には、「すると思う」が84.8%に上ったが、「実際に虐待(疑いを含む)を見聞きして通告したことがあるか」という問いには、「見聞きしたことはない」 が84.4%、「通告したことがある」が5.9%で、「見聞きしたが通告しなかった」が9.7%だった。通告しなかった理由(2つまで回答)には、「虐待かどうか判断できなかった」が52.2%、「近隣トラブルがこわい」が13.0%、「ほかの人が通告すると思った」も4.3%いた。いざとなると、虐待の判断に及び腰になったり、自分への影響を考えたりしてしまうようだ。

 ちなみに都では、児童虐待防止の普及啓発キャラクター「優しく、温かく、親子を見守るOSEKKAIくん」を設定しているが、76.8%が「OSEKKAIくん」を「全く知らない」と答えた。OSEKKAIくんの露出が増えれば、一昔前のおせっかいなほどの近所づきあいも少しは復活してくるのかもしれない。(編集担当:城西泰)