認知症サポーター増加 滋賀県内で14万人超、全国平均を大きく上回る

2016年02月17日 08:41

 昨年、厚生労働省の研究班が公表した推計データによると、2025年には全国の認知症高齢者数が最大で730万人に上るという。65歳以上の5人に1人が認知症になる計算だ。老人ホームなどの施設や介護サービスだけではなく、地域の人たちの「見守り」や「支え」の重要性を感じずにはいられない。

 こうした時代背景もあり、「認知症サポーター」の数が増えているという。同サポーターは05年度に政府の呼びかけでスタートし、全国キャラバン・メイト連絡協議会と各自治体が開く約90分の養成講座を受けた人がサポーターと認定される。受講費用は無料だ。

 講座では専用のテキストを使用し、キャラバン・メイトがボランティアで講師を務める。認知症の症状(中核症状、徘徊、暴力的な言動など)、診断、治療、予防、接する時の心構え、介護者の気持ちの理解、サポーターにできることを知ることができる。

 中でも滋賀県では、サポーター数の増加が著しいという。長浜市、東近江市、草津市などの各自治体が養成に尽力し、県内だけで昨年末までに延べ約14万7,000人が受講した。人口に占める割合は熊本県(13.492%)、鳥取県(11.966%)、福井県(10.920%)に次ぐ全国4位(10.336%)。全国平均は約5.2%だ。個人だけでなく、企業や団体にも浸透しつつあるという。

 サポーターになったからといって、ボランティアなどの活動に参加する義務は発生しない。認知症に理解のある人が増えることが、本人や家族の負担軽減につながると考えられている。地域の高齢者や予備軍を含む認知症の人たちを見守るという観点から、地域活性やリーダーの誕生が今後期待される。

 認知症で困っている人や家族を見かけたら声をかけるという「風土づくり」を各自治体と地域の住民が協力して行えば、何より自身が当事者になった時に救われるであろう。認知症は誰にでも起こり得る脳の疾患であり、決して他人事ではないのだ。(編集担当:久保田雄城)