【今週の展望】16000円台前半で動きながらG20の結果を待つ

2016年02月21日 20:37

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25日移動平均線手前の16000~16500円は、とりあえず落ち着きやすいゾーン。満腹感もなければ危機感もなく、G20の結果待ちのスタンバイに適している。

 今週、2月第4週(22~26日)は5日間の取引。今年は夏季オリンピックイヤーのうるう年なので、2月は来週月曜日の29日まであり、1日多い。週末のG20が世界のマーケットの最大の関心事だろう。世界の主要株式市場は、22日にタイ、23日にロシア、25日にフィリピンが休場する。

 国内の経済指標、イベントは少ない。26日は、いつもの月なら国内指標発表ラッシュの月末の金曜日だが、CPI以外の家計調査や労働力調査などは29日に発表される。22日には2月の日経・マークイット製造業PMI、1月の白物家電出荷額、全国コンビニエンスストア売上高、23日には1月の全国スーパー売上高、食品スーパー売上高、24日には1月の企業向けサービス価格指数、12月の景気動向指数改定値、気象庁の3ヵ月予報、25日には1月の外食売上高、26日には消費者物価指数(CPI/1月全国、2月東京都区部)が、それぞれ発表される。

 主要銘柄の決算発表は端境期。23日にスリープロ、24日にプラネット、アインHD、25日にラクーン、ウチダエスコ、26日にエイチ・アイ・エス、日本駐車場開発、ダイドードリンコ、東和フード、大和コンピュータ、内田洋行が発表する。

 2016年の新規IPO第1号がいよいよ登場。24日、はてな<3930>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、ソーシャルブックマーク「はてなブックマーク」、ブログ「はてなブログ」の運営や、法人向けコンテンツマーケティングサービス、ソリューションサービスなどを行う。公開価格は800円。人気のIT、ネット、コンテンツ関連で、新規IPOは12月から約2ヵ月空白があったので、いきなり初値翌日持ち越しか? 2月はこの1件だけだが、3月はすでに19銘柄の上場日がスケジュールされている。つくしが頭を出すように新規IPOが多く出てくる季節。

 海外の経済指標、イベントは、26~27日の上海のG20財務相・中央銀行総裁会議が最大の注目イベント。アメリカの住宅関連指標も見逃せない。

 22日にはフランス、ドイツ、ユーロ圏の2月のPMI、アメリカの2月の製造業PMI、1月のシカゴ連銀全米活動指数が発表される。22日から25日までスペイン(カタルーニャ)のバルセロナでモバイル機器の見本市「モバイル・ワールド・コングレス2016」が開催される。

 23日にはドイツの10~12月期のGDP確報値、2月のIFO景況感指数、フランスの2月の製造業信頼感指数、アメリカの12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、2月のリッチモンド連銀製造業指数、1月の中古住宅販売件数、2月のCB消費者信頼感指数が発表される。トルコで政策金利が発表される。

 24日にはフランスの2月の消費者信頼感指数、アメリカの1月の新築住宅販売件数、25日にはユーロ圏の1月のマネーサプライ、英国の10~12月期のGDP速報値、ブラジルの1月の失業率、アメリカの1月の耐久財受注速報値、12月のFHFA住宅価格指数、26日にはフランスの10~12月期のGDP速報値、2月の消費者物価指数、ドイツの2月の消費者物価指数速報値、アメリカの10~12月期のGDP改定値、1月の個人所得・個人支出、貿易収支、2月のミシガン大学消費者態度指数確報値が、それぞれ発表される。

 26~27日に中国の上海でG20財務相・中央銀行総裁会議が開催される。昨年夏から世界の経済、マーケットを振り回し続ける中国で開かれる。〃中国の通貨政策・被害者の会〃がアウェーでも遠慮せず中国人民銀行の周小川総裁を吊し上げるなど、不測の事態が起きるかもしれない。

 アメリカの主要企業の決算発表は小売業の有名どころが並ぶ。23日にトール・ブラザーズ、ホーム・デポ、メーシーズ、24日にロウズ・カンパニーズ、ターゲット、セールスフォース・ドットコム、TJX、ヒューレット・パッカード、25日にコールズ、GAP、ベストバイ、26日にJCペニー、フット・ロッカーが発表する予定。

 前週は15日の月曜日、「春一番」の強風にあおられたかのような1069円高で終値で16000円台に一気に乗せ、マーケットのムードが一変した。そして週末の19日の終値も15967.17円。テクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は5日線がすぐ真上の16015円で、25日線が16663円、75日線が18301円、200日線が19079円にある。75日線や200日線は2000円以上も上空に浮かんでいるが、大きな節目の25日線はあと696円上昇すればタッチできる距離にある。

 日足一目均衡表の「雲」は18217~18478円で、19日終値の15967円から下限まで2250円ある。それでも前々週末12日の3713円の開きよりはまし。今週の雲は下限が17936円から17469円まで、上限が18338円から18014円まで下がっていく。下限が徐々に接近し、久々の雲タッチも雲をつかむような話ではなくなってくる。下限は29日は17405円で、3月5日に17196円まで下がる。

 ボリンジャーバンドは19日終値15967円が、25日線-1σの15974円のわずか7円外側で、ほぼ線上だと言っていい。プラスマイナス1σの外に出る確率は31.7%で、前々週末12日終値があと18円まで接近していたプラスマイナス3σの外に出る確率0.3%と比べれば大違い。沖縄に雪が降るような極低確率のアブノーマルさが消えて、ノーマルな状態に戻っている。

 それでもオシレーター系指標はまだ「売られすぎ」シグナルが点滅している。-64.3で売られすぎ基準の-50を割り込んだRCI(順位相関指数)と、-4.4%で売られすぎ基準の-4%を割り込んだ25日移動平均乖離率の2個だが、25日線乖離率の売られすぎ基準を-5%とみる場合もあり、グレーゾーン。それはともかく、1週間前に比べれば売られすぎの度合いは著しく低下した。騰落レシオは75.2、RSI(相対力指数)は36.0、サイコロジカルラインは4勝8敗で33.3%、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は49.9、ボリュームレシオは34.4だった。

 需給データを確認すると、東証が発表した8~12日の週の投資部門別株式売買動向は、外国人が5734億円の6週連続の売り越し、個人が1886億円の2週連続の買い越し、信託銀行が401億円の12週連続の買い越し。年金資金がバックにある信託銀行は健気に買い越しを3ヵ月近く続けているが、この週の「需給三国志」は外国人の売りに他が対抗できず、週間騰落は1866円安だった。

 信用倍率(貸借倍率)は5.22でほぼ横ばいだが、裁定買い残が2026億円減少して1兆9848億円で、昨年9月4日以来の2兆円割れ。さらに大きな変化があったのが「信用評価損益率」で、ここ数年なかった25.76という高水準にはね上がった。これだけ高いのはリーマンショックの数カ月後の2008年12月までさかのぼり、前々週末に恐怖指数(日経ボラティリティ・インデックス)が一時50を超え、「追い証の処分売り」「リーマン以来」といった忌まわしい言葉がよく聞かれたのを裏付けている。とはいえ、前週はおよそ半値戻し(54.3%戻し)している。

 しかし、その前週もカラ売り比率は依然ハイレベルだった。15日こそ39.4%で40%を割ったが、16日は42.1%、17日は42.6%、18日は41.3%、19日は41.9%で、41%を超える高水準。前週は先物主導の仕掛け売りをよくかけられ、「トイレに行っているうちに100円以上下落した」という局面もあり油断できなかった。それは今週についても言える。

 19日の日経ボラティリティ・インデックス(VI)終値は36.96で、50にタッチした12日から大きく後退したが、それでも20を切る昨年末の大納会の水準に比べればまだ高く、ようやく25日単純移動平均を下回ったところ。海外マーケットが「リスクオンした」といいながら、まだまだ警戒を解くわけにはいかない。ゲリラ急落、つまりザラ場中の円買いを伴った先物主導の売りは、今週も警報までいかないが、引き続き注意報発令中。

 国内勢が手を引き、8~12日の週の東京株式市場の売買高に占める外国人比率は75.3%に上昇した。大相撲もそうなった「ウィンブルドン現象」。そのヘッジファンドなど外国人投資家が日本株の指数先物の買いポジションを解消すると、現物が裁定解消売りされて株価が下がり、裁定買い残が低下する。

 そのメカニズムに真っ向から対抗してきたのが個人投資家で、アベノミクス相場ではよく下値を拾って結果を出していたが、下げすぎた2月は「追い証」などで傷ついてしまったようだ。その傷を癒せる「温泉」として新規IPOがあるが、年明けから1回もなく今週24日が2016年第1号で、本格化は3月まで待たねばならない。「湯治」には時間がかかりそうだが、3月末の権利確定イベントの頃からは期待してもいいだろうか?

 今週は週末に上海のG20財務相・中央銀行総裁会議というビッグイベントが控えているので、思惑が交錯しながらも結果待ちの様子見で、前週までのようなボラティリティの派手な動きは抑えられるだろう。上値のメドとしては19日は16663円に位置していた「25日移動平均線タッチ」がまず考えられる。25日線は座り心地がいいので、その周辺の滞在時間が長くなりやすい傾向がある。25日線の手前あたりでウロウロするだろうか?

 一方、下値は前週同様、ザラ場中に下に振れやすいのを覚悟しなければならない。前週は17日に15632円まで下げたが、16日は15809円、19日は15799円で下げ止まっているので、15800円を今週の下値のサポートラインとみる。

 ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは15800~16600円とみる。25日移動平均線の手前の16000~16500円は、とりあえず落ち着きやすいゾーン。「よく上昇した」という満腹感もなければ、「下がりすぎた」という危機感もなく、週末のG20の結果待ちのスタンバイには適している。(編集担当:寺尾淳)