国際EAP研究センターは、約5,000名の管理職に対するストレスチェックの結果データをもとに、女性管理職のストレス傾向の分析を行った。
2015年に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が制定され、女性の活躍推進が近年日本における大きな潮流となっている。特に、国際的にみて低いとされている女性管理職比率については政府が数値目標を掲げる等女性管理職増加のための様々な施策が実施されている。
管理職におけるストレス度を比較すると、男性管理職に比べて女性管理職のストレス度が高い結果となった。
ストレス要因とストレス度の関連の強さを統計的に分析し、管理職におけるストレス度と関連の強いストレス要因を抽出した結果、「仕事でエネルギーをもらって自分の生活をさらに充実させることが出来ない」、「職場での対人関係」が男女問わず強い要因として抽出された。
男性管理職では「仕事のコントロール」、「情緒的負担」、「役割葛藤」といった主に仕事上の要因が関連の強い要因として上位に抽出された一方で、女性管理職では「キャリア形成」、「個人の尊重」、「公正な人事評価」といった組織体制・風土に関する要因が上位に抽出されたことが特徴的だ。また組織体制・風土に関する要因が良好でないと感じている女性管理職は顕著にストレス度が高いこともわかった。
今回の分析からは、男性管理職と比較して女性管理職のストレス度が全般的に高いことがわかった。このことから、女性が管理職として働きやすい職場作りを進めるためには、会社として女性管理職向けのキャリア教育、全社的なハラスメント防止教育、女性管理職の上司となる幹部層に対するコミュニケーション研修等に力を入れていくことが必要だろう。
また、現状の日本企業においては社内に女性管理職のロールモデルや相談相手となれる存在が不足していると考えられることから、キャリアに関する悩みや育児・介護等のプライベートな悩みを相談出来る専門機関を活用することも有効ではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)