国内最大のマリンイベント「ジャパンインターナショナルボートショー2016」が、3月3日にパシフィコ横浜において開幕した。
この会場でプレスブリーフィングを実施したのは、ヤマハ発動機だ。同社の代表取締役副社長・木村隆昭氏の説明によると、ヤマハは「総合マリンビジネス3000億円」を目指してビジネス展開してきた結果、2015年マリン事業全体で売上3034億円(前年比109.8%)を達成、営業利益602億円と高収益ビジネスに育ったという。まさに、ヤマハは名実ともに日本を代表するマリンビジネス展開企業といえる。
そのヤマハがショー会場で発表した新製品について触れておこう。まず、同社ブースの中央メインに置かれたスポーツボートのフラッグシップ「242X E-SERIES」だ。メカニズムにおけるハイライトは、新開発されたドライブ・バイ・ワイヤ(DBW)リモコンで、高級スポーツカーなどが採用しているスロットル&シフトに沿ったシステムを採用。スムーズで無駄のないシフト&スロットル操作が可能となった。また、搭載する2基のエンジン回転数シンクロ制御、1本のシフトレバーで2基のエンジンを同時に操作するシングルレバーモード、GPSを活用したスピードコントロール機能などを搭載する。
このほかにも、快適なクルージングを支援する装備やエクステリアを際立たせる重厚感のあるソーラーパネル付きの 新デザインのゲートタワーの採用、3カ所に設置したウォーターバラストなどを備え、本格的にウェイクボードが楽しめるトーイングボートとしての機能を併せ持っている。定員は11名。発売日は発表当日の3月3日、価格は1,183.77万円。グローバルで130隻/年の販売を計画している。
もうひとつ、同社を代表する商品「マリンジェット」発売30周年記念モデルとして6年ぶりに「MJ-FZR SVHO」を国内導入する。このモデルは北米で非常に人気の高い2シーター・ハイパフォーマンスモデル。同社独自の超軽量素材「Nino Xcel2(ナノエクセル2)」を使ったボディに、1812ccスーパーチャージャーエンジンを搭載。高い加速性能と旋回性能を得て、走ること、操ることの楽しさを追求したモデルだ。
ライダー支援機能・快適機能も充実している。まずライディングポーズに応じてステアリングの高さを調節できる「テレスコピック機能付きステアリング」、走行・旋回、海面状況に応じてノズル角をシフトコントロールできる「ヤマハQ.S.T.S(クイックシフト・トリムシステム)」、さらにエンジンの最高回転数を通常時の90%に抑える「L-モード」なども装備し、快適走行をサポートする。価格は216.06万円だ。
会場では、水難救助などに特化した新型ジェット救難艇「RE1800」も展示された。FRP製ボディ周囲にクッション製のあるチューブを取り付け、ガレ場などにも近づきやすい船体とし、180馬力のマリンジェット用エンジンと救難艇のために改良を施したジェット推進機を搭載した。コンパクトな船体だが最大6名乗船が可能で、機動力を活かして一度に複数名の救助を可能にする。初年度5艇の販売計画、価格は1,200万円。
なお、このボートショーでの会見で、ヤマハ発動機としてセーリングチームを結成。2020年の東京オリンピック出場に向けて活動を開始するとした。同社は、2016年の「アメリカズカップ」に挑むソフトバンク・チーム・ジャパンの公式スポンサーでもあり、マリンスポーツの最高峰に参画することで、同社のブランドスローガン「Revs your Heart」を推し進めるという。(編集担当:吉田恒)