現在、腸内フローラと健康との関わりや腸内細菌の免疫調節作用が次々と明らかになり、関心が高まっているという。乳酸菌の健康効果の中で、特に期待する声が多いのは、「抗アレルギー作用」に関するもの。日清食品ホールディングス<2897>は、強い抗アレルギー作用を有する乳酸菌を探究した結果、T-21乳酸菌を発見し、継続的な摂取により、花粉症及び通年性鼻炎の症状が緩和されることをヒト試験で確認したと発表した。
例年スギ花粉症を発症している被験者19名に、「T-21乳酸菌を含む食品」あるいは「T-21乳酸菌を含まない食品 (プラセボ食)」を4週間摂取してもらった後に、花粉曝露施設内でスギ花粉を3時間曝露し花粉曝露施設内での症状の変化を解析した。その結果、「プラセボ食」を摂取した時に比べて、「T-21乳酸菌を含む食品」を摂取した時は「鼻づまりの症状」が統計学的に有意に緩和され、「鼻のかゆみ」と「くしゃみの回数」について軽減される傾向がみられた。
また、花粉曝露後2日間の遅発反応を調べた結果、「T-21乳酸菌を含む食品」を摂取した時は「鼻づまり」、「眼のかゆみ」、「流涙」が統計学的に有意に緩和されることがわかった。さらに血液を調べたところ、好酸球が摂取前に比べて「プラセボ食」を摂取した時は増加したが、「T-21乳酸菌を含む食品」を摂取した時はその増加が抑えられ、「プラセボ食」を摂取した時に比べて統計学的に有意に少ないという結果が得られた。また、花粉症を抑制する免疫調節物質であるインターフェロン-γは増加する傾向がみられたとしている。
ハウスダストなどに反応して一年中発症する鼻炎を通年性鼻炎という。例年通年性鼻炎を発症している被験者23名を2群に分け、一方の11名には「T-21乳酸菌を含む食品」、もう一方の12名には「T-21乳酸菌を含まない食品 (プラセボ食)」を3週間摂取してもらった。その結果、「鼻粘膜の腫れ」について「T-21乳酸菌を含む食品」を摂取した被験者では、摂取前に比べて統計学的に有意に軽減し、また「プラセボ食」を摂取した被験者に比べても統計学的に有意に緩和されることが明らかになった。「鼻粘膜の赤み」についても、「T-21 乳酸菌を含む食品」を摂取した被験者では、摂取前に比べて統計学的に有意に改善された。
さらに、血液を調べたところ、「T-21乳酸菌を含む食品」を摂取した被験者では、花粉症を悪化させる免疫細胞である2型ヘルパーT細胞 (Th2細胞) が統計学的に有意に減少することがわかった。なお、これまでの乳酸菌研究では、4週間以上の摂取による検証例が多い事から、T-21乳酸菌の特長は短い摂取期間で効果を発揮することであるといえるとしている。
これらのことから、T-21乳酸菌は、4週間の摂取で花粉症、3週間の摂取で通年性鼻炎の症状を緩和することが明らかとなり、花粉症と通年性鼻炎の両方を短い摂取期間で緩和する効果があることを確認できた。T-21乳酸菌は、アレルギーを悪化させる免疫細胞であるTh2細胞を減少させ好酸球の増加を抑える一方で、アレルギーを抑制する免疫調節物質であるインターフェロン-γを増加させる効果があることから、花粉症や通年性鼻炎といったアレルギー性鼻炎だけでなく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー全般に対しての効果も期待できるとしている。(編集担当:慶尾六郎)