経営再建を目指す東芝は18日、2017年3月期の連結売上高の目標を、4兆9000億円とする事業計画を発表した。そのなかで、来年4月入社の大学生らの新卒採用を中止し、コスト削減を徹底するとの施策を示している
不適切会計問題などにより業績が悪化し、経営再建を目指す東芝<6502>は18日、2017年3月期の連結売上高の目標を、4兆9000億円とする事業計画を発表した。そのなかで、来年4月入社の大学生らの新卒採用を中止し、コスト削減を徹底するとの施策を示している。事務系、技術系ともに新卒採用が中止される。こうしたコスト削減効果や、半導体事業と原子力などのエネルギー事業、鉄道などの社会インフラ事業の3事業を中心に、グループ全体の純損益を400億円の黒字とし、3期ぶりの黒字転換を目指すとしている。
連結売上高の目標金額は4兆9000億円としているが、これは不適切会計問題が発覚する前の15年3月期と比べて、1兆7000億円以上のマイナスとなっている。このことからも、不適切会計問題の影響が、いかに同社の経営に大打撃を与えたかをうかがい知ることができる。こうして大幅に売上高は減るものの、新卒採用の中止や1万人以上のリストラなどのコスト削減により、400億円の黒字を確保するとしている。
東芝は現在の厳しい経営状況を踏まえて、グループ内の人材を最大限活用するとして、来年4月の新卒採用を中止する。ただしグループ全体では、東芝テック<6588>、東芝プラントシステム<1983>などの上場会社を中心に、引き続き新卒採用とキャリア採用を行うとしている。15年度採用計画では、東芝単体で事務系で130人、技術系で550人、技能系で130人の計810人の採用を予定していた。しかし、コスト削減を理由にそれらは中止されることとなった。さらに新卒採用の中止だけでなく、大規模なリストラの実施が予定されている。18日の時点で従来の計画よりも約3000人多い、1万3820人をリストラするとの計画が進行している。
グループ全体の従業員数は、東芝メディカルシステムズなどの事業売却を進めたことにより、17年3月末に18万3000人となり、15年3月末の21万7000人から3万4000人減ることになる。東芝は今回の発表に際して、失った信頼、信用、企業価値はすぐには取り返せない。永続的な発展を遂げられる企業へ再生したいとの展望を示している。(編集担当:滝川幸平)