アルツハイマー型認知症に次いで多い「レビー小体型認知症」。1976年に日本で発見され、現在認知症の2割を占めると言われている。
レビー小体型認知症の「レビー小体」とは、神経細胞に発生する特殊なたんぱく質を指す。レビー小体が脳の大脳皮質や脳幹に大量に集まると神経細胞が破壊され、神経を正常に伝達できなくなり、認知症の症状が現れるというのだ。アルツハイマー型は女性に多く見られるのに対し、レビー小体型は男性の発症率が高く、女性の約2倍と言われている。
認知症の症状と言えば「物忘れが激しい」というイメージを多くの人が抱いていることだろう。ところが、レビー小体型は物忘れよりも、初期の段階で本格的な幻視が多く見られる。「虫が部屋にいる」「蛇が見える」「知らない人がいる」「遠方にいるはずの子どもがいる」などを訴え、幻視に対して話しかけることもあるという。うつ症状も多く見られ、病院にかかっても初期の段階ではうつ病と診断されるケースもある。
また、誤認妄想もレビー型の大きな特徴だ。「まだ働いている」「自分は若い、したがってまだ子どもが小さい」「家族が他人と入れ替わっている」などと思い込むことがある。
体に現れる症状には、手の震え、筋肉のこわばり、体のバランスが取れなくなる、動作が遅いなどがある。手の震えは物を持つと少なくなり、何もしていない時に震えやすい。表情も乏しくなり、感情が読み取りにくくなる。
症状の進行の仕方にも違いがある。アルツハイマー型は症状が少しずつ進行していくのに対し、レビー小体型はしっかりしている時とそうではない時の差が激しいため、周囲がレビー小体型だと理解していないと「本当はしっかりできるのに」と無理強いをしたり、怒ってしまうことがある。できない時にはできないと理解し、必要に応じた介助が必要だ。幻視の訴えを良く聞くことも大切である。
今まではレビー小体型そのものに効く薬がないとされてきたが、最近ではアルツハイマー型に用いられていたアリセプトという薬が、レビー小体型にも有効だと認められている。
「もしかして」と思ったらすぐに検査を受け、早期発見・早期治療、そして周囲の理解が必要だ。(編集担当:久保田雄城)