【今週の展望】「シジフォスの石」は、また持ち上げるしかない

2016年04月03日 20:31

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どんなに不条理な落とされ方をしても、その理由を知って、どうなるものでもない。SQ週の「鬼門」を通り抜け、25日移動平均線の回復を目指す。

 今週、4月第2週(4~8日)は5日間の取引。8日はマイナーSQ(オプションSQ)の清算値算出日。5日と6日は下げやすい「SQ週の火曜日、水曜日」にあたる。

 世界の主要株式市場の休場日は、前週までの復活祭ウィークの欧米に代わり、今週はアジアばかり。4日に中国、香港、台湾が「清明節」で休場する。台湾は5日も休場し4連休。6日にタイ、8日にインド・ムンバイ市場が休場する。

 国内の経済指標、イベントは、7日の東京都区部オフィス空室率、8日の景気ウォッチャー調査が重要。街角景気は2月は悪化したが、年度末の3月はいつもの年のように持ち直すだろうか? もし悪化したら参議院選挙を控えて、安倍内閣は何もしないわけにはいかないだろう。

 4日には3月調査分の日銀短観の企業物価見通し、3月のマネタリーベース、ファーストリテイリング<9983>の3月の国内ユニクロ既存店売上高、4月の財政資金対民間収支見込み、5日には2月の毎月勤労統計調査、6日には2月の景気動向指数速報値、3月の新車登録台数、軽自動車販売台数、7日には3月の東京都心部オフィス空室率が発表される。7日に日銀支店長会議が開かれ、黒田総裁があいさつし、各地域ごとの景況をまとめた「さくらレポート」が発表される。

 8日には2月の国際収支、3月の企業倒産、消費動向調査、景気ウォッチャー調査が発表される。この日はマイナーSQ(オプションSQ)で、オプション取引や日経平均ミニ先物の清算値算出日。

 主要銘柄の決算発表は小売業を中心に2月期の決算発表が佳境を迎える。しまむらは4日、セブン&アイHD、ファミリーマート、ファーストリテイリングは6日、ユニーGHDは7日に発表する。

 4日はアダストリア、キユーピー、クリエイトSDH、しまむら、カネコ種苗、あさひ、三協立山、不二越、ナガイレーベン、西松屋チェーン。5日はサンエー、スギHD、ハイデイ日高、ケーヨー。6日は東京個別指導学院、小津産業、パルコ、7日はJフロントリテイリング、セブン&アイHD、オーエスジー、ファミリーマート、ファーストリテイリング、タカキュー、リンガーハット、ポケットカード、ユーシーエス、乃村工藝社。8日は久光製薬、ユニーGHD、島忠、サカタのタネ、チヨダ、オンワードHD、DCMHD、パソナ、明光ネットワークジャパン、薬王堂。

 今週の新規IPOは2件。5日にハイアス・アンド・カンパニー<6192>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、住関連産業に関わるASPシステム、事業ノウハウなどのソリューション提供を行う。公開価格は950円。8日に丸八HD<3504>が名証2部に新規上場する。横浜市が本社で、ふとん、毛皮インテリアなど寝具、リビング用品の製造販売を手がける丸八真綿グループの管理・統括会社。30年以上前のジェシー高見山関の「二倍二倍」のテレビCMがなつかしい「マルハチ」。公開価格は680円。

 海外の経済指標、イベントは、5日のアメリカのISM非製造業景況指数が最も重要。

 4日にはユーロ圏の2月の失業率、アメリカの2月の製造業受注指数、3月の労働市場情勢指数(LMCI)、5日にはユーロ圏の2月の小売売上高、アメリカの2月の貿易収支、3月のISM非製造業景況指数が発表される。5日にオーストラリアとインドで政策金利が発表される。

 6日には中国の3月の財新の非製造業PMIが発表される。6日に3月15、16日に開催されたFOMCの議事録が公表される。利上げをせず、年間4回の見通しを2回に減らした回。7日には3月10日に開催されたECBの議事要旨が公表される。公約通りに大規模な金融緩和を実施した回。イエレンFRB議長がパネル討論会に出席する。

 7日にはアメリカの2月の消費者信用残高、8日にはアメリカの3月の卸売在庫、卸売売上高が発表される。

 アメリカの主要企業の決算は、6日にモンサント、ベッド・バス・アンド・ビヨンドが発表する予定。

 3月末の日足チャートの「三角もちあい」パターンの結末は、「上放れ」ではなく苛酷な「下放れ」だった。年度末をはさんで25日移動平均線も3月のメジャーSQ値もあっけなく通過され、テクニカルな要素は全く無力。日銀短観や為替の円高だけでは、ここまでは下がらない。28~29日の権利確定イベントと年度変わりをはさみ、需給状況が大きく変化したと考えたほうがいいだろう。

 その前週末1日の日経平均終値は16164.16円だった。そのテクニカル・ポジションを確認しておくと、移動平均は全て上にあり、下から25日線が16804円、5日線が16807円、75日線が17198円、200日線が18589円に位置する。200日線以外は3月中に終値で一度は上回っていた数値ではある。

 前週はその外に出なかった日足一目均衡表の「雲」は、1日時点で16091~17367円。今週は、雲の上限は17367円でずっと一定し、下限は4日の16218円から徐々に上がって8日は16371円になる。1日の安値は「三角もちあい下放れ」によってザラ場中に16113円まで下げ、あと22円安くなれば雲の下に出ていた。

 ボリンジャーバンドでは、25日線-2σの16144円と-1σの16474円の間。1日は終盤に-2σのラインも一時下回っていた。そこまで下げると「下値は限定。上値を追ってリカバリー可能」という位置にある。

 オシレーター系指標も「売られすぎ」を示すシグナルが2個点灯している。さらにもう2個が、点灯するかしないかというボーダーライン上にある。点灯したのは、20.5で売られすぎ基準の30を下回ったストキャスティクス(9日・Fast/%D)と、27.3で売られすぎ基準の30を下回ったボリュームレシオ。サイコロジカルラインは3勝9敗の25.0%、25日移動平均乖離率は-4.0%で、それぞれ売られすぎ基準の25%、-4%のボーダーライン上にある(25日線乖離率は-5%を下回れば売られすぎだとする解説もある)。急落したため25日騰落レシオは104.4で100を超えていたが、RSI(相対力指数)は34.5、RCI(順位相関指数)は-20.3と低位にあった。