桜の花が咲き誇る日本列島。4月1日は多くの企業で入社式が行われた。近年は、単なる式典ではなく、社風や商材を象徴するような個性的でユニークな入社式も増えているようだ。
例えば、住宅メーカーのアキュラホームでは、今年も大工出身の宮沢社長自らが新入社員の一人ひとりにアドバイスしながらカンナがけを行う、恒例の「カンナがけ入社式」が行われた。これは、新入社員にも実際に職人の仕事を体験してもらうことで、自らも「匠」の一員であることを意識してもらいたいという想いで、2006年から恒例で実施されている。
また、今年18名の新入社員を迎えた「おたふくソース」でお馴染みのお多福グループは、約30年前から入社式に新入社員の家族も招待する、家族同伴入社式を行っている。同社では、社員を家族と捉え、社員の家族にも同社のことを知ってもらいたいという思いが込められている。
一方、大手菓子メーカーのカルビー<2229>でも、一風変わった入社式が行われて話題になっている。その入社式が行われたのは東京・丸の内にある本社ではなく、栃木県の動物園。そして、入社したのはフレッシュな新卒者ではなく、世界最大のネズミの仲間カピバラの親子。実はこのカピバラ親子「のり」と「ソルト」は、ポテトチップスの人気商品「のりしお」の発売40周年に合わせて、PR担当に任命されたものだ。
「人間以外」というものでは、自動車用防振ゴムで世界トップシェアの住友理工<5191>も面白い。しかも、こちらは人間どころか生き物ですらなく、ロボットだ。同社では、介護者と被介護者に接することのできる人間共存ロボットの実用化を目指し、理化学研究所と共同で2007 年から2015年の約8年間、「理研―住友理工人間共存ロボット連携センター」で、介護支援ロボットの開発に取り組み、人間と直接触れ合う人間共存ロボット向けに、すべてゴムでできた柔軟触覚センサー「スマートラバー(SR)センサ」などの要素技術を磨いてきた。今回、介護支援ロボット「ROBEAR」(ロベア)をイメージキャラクターとして起用し、広報部員に任命することで、同社の知名度やブランド価値の向上を図る。
他にも、様々な個性的な入社式が行われたが、入社式という門出に大きな興味が湧けば、社員としての自覚や愛社精神も生まれやすいのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)