本格的に暑くなる季節を前に、清涼飲料メーカー各社から爽やかさを謳った新商品が多く発売されている。殊、日本人の味覚に馴染みの深い梅を用いた商品は多くのメーカーから発売されており、消費者の選択肢の幅が年々広がっている。
伊藤園からは、紀州産南高梅果汁を使用した「梅ソーダ」を5月14日から販売開始、アサヒ飲料からも、バヤリースシリーズから「バヤリース パーラーズレシピ 南高梅シロップの純水割仕立て450ml」を5月29日から発売予定だ。これらに先駆け、ダイドードリンコから発売された梅味飲料が注目を集めている。
それが、天保5年創業と170年以上の伝統と歴史を持つ老舗紀州梅本舗「五代庵」と共同開発された「五代庵 梅の恵み」である。3月26日に微発泡タイプを、4月9日には純水仕立てタイプを続けて販売開始。芸能人や著名人にファンが多く、メディアへの露出も多い梅干しメーカー「五代庵」の認知度が、果汁飲料「よろし」シリーズの第一弾商品として2004年発売の「梅よろし」で獲得したユーザー層を拡大していると言う。
夏場の塩分補給の手段として梅干しにスポットが当たる中で発売された「五代庵 梅の恵み」。梅には塩分が含まれている分、甘味と酸味のバランス調整が難しく理想の味わいに近づけるために何度も試行錯誤を繰り返したとダイドードリンコの担当、松田氏。また、正面デザインに五代庵ロゴを入れているため、ブランドのイメージを損なわないように味作りすることが何より一番の苦労だったという。その分、爽やかな味わいの中にも、梅の奥深い味わいが楽しめる商品となり、さらにカロリーオフ仕様なので暑い夏場の季節でもゴクゴク飲用できるものとなっている。
サントリーが販売する「伊右衛門」は寛政2年(1790年)創業の福寿園、JTビバレッジからは萬延元年(1860年)創業の辻利、日本コカ・コーラの「綾鷹」は創業450年の上林春松本店と、過当競争の状況にあった緑茶飲料市場では、老舗茶舗の名を冠した商品が現在では定番商品となっている。商品の品質もさることながら、老舗ブランドに対する安心感・信頼感、そして、老舗ブランドの商品を手軽に楽しめるということが、消費者が商品を手に取る動機の一つとなっているのであろう。同様に老舗との共同開発によって商品化された「五代庵 梅の恵み」に対しても注目が集まるのは当然と言えるのかもしれない。老舗ブランドならではの爽やかな梅の味わいを一度手に取り、癒されてみてはいかがであろうか。