東京商工リサーチによると、2016年3月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産は、10件で前年同月を下回った。金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、大手輸出企業を中心とした好業績に牽引される形で景気が底上げされ、企業倒産は低水準で推移しているという。
2016年3月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産での負債総額は、62億1,000万円(前年同月比15.6%減)で、4カ月ぶりに前年同月を下回った。2015年度(2015年4月-2016年3月)の累計は127件(前年度比40.9%減、前年度215件)、前年度より4割減になった。負債総額は654億2,800万円(同34.1%減、同993億6,800万円)で、前年度を下回ったとしている。
2015年度の負債額別では、10億円以上の大型倒産が19件(前年度25件)で、最多は1億円以上5億円未満の48件(同103件)だった。産業別では、最多が製造業の37件(同61件)。次いで、建設業24件(同28件)、卸売業21件(同41件)、サービス業他21件(同28件)と続く。原因別では、販売不振72件(同123件)が最も多かった。次いで、既往のシワ寄せ(赤字累積)が33件(同43件)と続く。
形態別では、最多が事業消滅型の破産82件(同145件)だったのに対し、再建型の民事再生法は9件(同8件)にとどまった。業績不振から事業継続を断念するケースが依然として多いとしている。
従業員数別では、最多が5人未満の48件(同92件)。次いで、5人以上10人未満が37件(同46件)だった。この結果、従業員数10人未満は85件(構成比66.9%、前年度138件)で、小規模企業が全体の約7割を占めたとしている。(編集担当:慶尾六郎)