14年の従業員支援プログラム市場は前年度比2.9%増の214億円

2016年04月19日 08:03

矢野経済研究所では、国内のEAPサービス市場の調査を実施した。調査期間は2016年1月~2016年3月、調査対象はEAP サービスを提供する主要事業者など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)とは、企業や団体などの従業員のメンタルヘルス上の課題(職場内での問題だけでなくプライベートの悩みを含む)を、カウンセリングなどを通じて解決に導き、組織の活性化や生産性を高める就労環境支援サービスである。

 EAP市場は2008年のリーマンショック以降、企業のコスト見直しが影響し一時的に低迷したが、景気回復に合わせて再び成長軌道を描くようになった。この流れを受けて、EAPサービスを導入する企業やサービスを受ける従業員の数が着実に増加しているが、一方で、参入事業者の増加に伴う単価の下落が続いたことから、2014年度の EAP 市場規模(サービス事業者売上高ベース)は、前年度比2.9%増の214億円となった。

 ストレスチェックを義務化する改正安衛法は2014年6月に再提出され国会で成立、2015年12月に施行された。これと連動し、2014年頃からストレスチェックやそのアセスメントをサービスラインに加える既存EAPサービス事業者、EAP市場へ参入する新規事業者が見られるようになった。

 EAP市場は本格的な需要拡大が見込まれる2016年度ほどではないものの、2015年度もストレスチェック義務化の前段階でのトライアルなども兼ねたサービス導入が一部の大手企業で見られ、2015 年 12 月の義務化後についても 12月決算の企業などを中心に新年度予算を活用してサービスを導入する動きが見られる。これらが押し上げ要因となり、2015 年度の EAP 市場規模(サービス事業者売上高ベース)は、前年度比 4.7%増の 224億円になると予測している。(編集担当:慶尾六郎)