矢野経済研究所では、国内の地方自治体向け BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の調査を実施した。調査期間は2015年12月~2016年3月、調査対象はSIer、コールセンター事業者、人材派遣系 BPO 事業者、PR 会社、ふるさと納税事業者、指定管理者、地方自治体など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・E メールによる取材、ならびに文献調査を併用した。
それによると、2014年度の国内自治体向けBPO市場(事業者売上高ベース)は、前年度比2.0%増の3兆7,517億5,000万円となった。市場は徐々に成長しており、2013年度から2019年度までの年平均成長率(CAGR)は1.4%で推移し、2019 年度の同市場規模は3兆9,883億円になると予測している。
自治体向けBPO市場は、地方自治体の予算自体が縮小傾向にあることやサービス単価自体が低下傾向にあるため、成長率は微増程度に留まっているが、以下のような成長要因を抱えているという。委託側の地方自治体においては、業務委託にかかるコストや入札情報開示の手間を省力化するため、業務の一括調達を行う自治体が増加しており、一案件あたりの委託規模と範囲が拡大傾向にある。
一方、受託側のBPO事業者でも、BPOサービス提供範囲の拡大に努めている。多くの自治体が予算を縮小している中で、BPO事業者はサービス品質を維持するのに必要な予算は確保していかねばならない。そのため、一つの業務分野で受託実績を残し、同じ自治体の周辺分野へと受託範囲を拡大させることで予算確保に努めている事業者が増加しているとしている。
また、新たな需要として、マイナンバー対応BPOサービスや地方創生に関わる広報活動のBPOサービスなどへの需要が発生している。マイナンバー対応BPOの例としては、マイナンバーカードの発行業務、専用コールセンター業務、マイナンバー管理業務などの代行サービスが挙げられる。一方、地方創生に
関わる広報活動の BPO の例としては、地方自治体の PR 活動業務、ふるさと納税にかかる自治体情報発信業務の代行サービスなどが挙げられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)