カフェでのBGMも有料 知らないと損する「著作権」

2016年04月23日 21:35

画・カフェて_のBGMも有料! 知らないと損する「著作権」の話

カフェのような営利目的ではなく、福祉・医療施設や教育機関でのBGM利用や会社や事業所で従業員のみを対象として流す場合などは契約が不要とされるケースもある。今後お店を開きたいと考えている人は一度確認してみよう。

 カフェやレストラン、雑貨屋に洋服屋、スーパーマーケットからホテルにいたるまで、店舗や施設に入ればその店の雰囲気や利用用途に合わせたBGMが流れている。自分の店を持っている人の中には、お気に入りの曲を流して店のイメージアップにつなげたいと考えている人もいるだろう。しかし市販されているCDを使用する場合、注意点がある。「著作権」の問題だ。

 日ごろ手にする1枚のCDにはさまざまな権利が絡んでいる。作詞家や作曲家は著作権法上の著作権者。また歌手は実演家として、レコード会社は製作者として、それぞれ著作隣接権という権利を持っている。これらのうち店内BGMで引っかかるのは著作権者が有する「演奏権」。CDに収録された楽曲を再生することが著作権法上では「演奏」にあたるとされているのだ。もちろん個人や家庭で楽曲を利用する場合は対象外だが、カフェなどのBGMは営業行為の一環とみなされ、著作権使用料を支払う必要があるのだ。

 この著作権を管理、使用料の徴収をしているのが日本音楽著作権協会(JASRAC)。現在300万を超える曲を扱っている。使用料は店舗面積によって異なり、年額6000~5万円程度だ。しかし徴収の対象となる飲食店や小売店は全国に100万以上ある。もちろん全ての店舗を網羅できるはずはなく、約3割が無断で楽曲を使用しているのが現状だ。

 そこでJASRACは昨年の6月、一斉に法的措置に踏み切った。15都道府県の171業者、258施設に対して使用料支払いを求める調停を各地の簡易裁判所に申し立てたのだ。JASRACは「著作権手続きをするよう繰り返し求めたが応じなかったため」としているが、店側からは困惑の声もあがった。JASRACの徴収の仕組みは、楽曲の使用割合を正確に反映していないとされており、ある経営者は「流した楽曲のアーティストにきちんと使用料が分配されるなら納得するが…」と不信感をみせていた。

 商売を行っているところが使用料を払わないで済む「抜け道」は、ない。あるとすれば、テレビやラジオといった公衆の番組放送を流すことや、著作権のない「パブリック・ドメイン」の楽曲を選んで流す、という方法しかない。もしくは店鋪BGM向けに提供されている音楽配信サービスを利用すれば、使用料を払ってBGMを流すよりも低コストとなる。「みんなやっているのでは?」「「黙っていればばれないのでは?」という考えもよぎるかもしれないが、訴えられてからでは遅い。今一度著作権について確認しておきたい。(編集担当:久保田雄城)