国土交通省は三菱自動車工業による燃費試験不正行為を受け、メーカー提出の走行抵抗値その他の数値に係る不正防止策を検討するタスクフォースを設置すると26日発表した。メンバーは自動車局長、自動車局技術政策課長、同局審査・リコール課長、自動車技術総合機構交通安全環境研究所代表理事(交通安全環境研究所所長)ら。
28日に第1回タスクフォース会議を開く。国交省は不正行為の全容解明を踏まえながら、速やかに不正防止具体策の検討を進めるとしている。
一方、三菱自動車は同日、燃費不正問題の社内調査結果を国交省に報告するとともに、自社HPでも内容を公表した。1991年から国の規定と異なる方法で燃費試験データを収集する法令違反を続けてきたことが分かった。
三菱自動車工業によると(1)14型『ekワゴン』『デイズ』(2013年2月申請)に設定されている4つの類別(燃費訴求車、標準車、ターボ付車、4WD車)のうち、燃費訴求車の開発において、目標燃費は当初(2011年2月)ガソリン1リットルあたり26.4kmだったが、その後の社内会議で繰り返し上方修正され、最終的(2013年2月)には29.2kmまで引き上げられたと目標値が大幅に引き上げられたと説明。
次いで(2)法規で定められた惰行法と異なる高速惰行法で走行抵抗データを実測し、燃費を良く見せるために、計測したデータの中から小さい値を選別して走行抵抗を設定。残る3類別については実測を行わずに同燃費訴求車の値を基に机上算出したとデータへの信頼をなし崩しにする不正行為をしていた。
三菱自動車は「14型『ekスペース』『デイズルークス』(2013年10月申請)、15型『ekワゴン』『デイズ』(2014年3月申請)、15型『ekスペース』『デイズルークス』(2014年12月申請)、16型『ekワゴン』『デイズ』(2015年6月申請)のいずれについても、14型『ekワゴン』『デイズ』を基に目標燃費に合わせて机上算出して申請していた」とした。
三菱自動車工業は不正行為があったことを示したうえで、今後について「軽自動車以外の車両についても十分な調査が進んでおらず、引き続き調査の上、別途報告する」とした。
今回の不正行為を受けて、三菱自動車工業は元東京高検検事長の渡辺恵一弁護士ら同社と利害関係のない3人の弁護士による外部有識者のみの特別調査委員会を設置。3カ月をめどに関連書類やデータの調査、関係者への聴取を含め事実関係調査や類似の不正の存否、原因分析と再発防止策の提言をまとめてもらう。調査結果については速やかに公表するとしている。問題は自動車業界全体の燃費データの信頼を揺るがす深刻な不正だけに、再発防止策が実効性のあるものでなければ消費者からの信頼回復は難しいと思われる。(編集担当:森高龍二)