政令都市の人口ベスト5をご存知だろうか。1位から順に、横浜、大阪、名古屋、札幌、そして一昨年まではそれに神戸が続いていたが、去年、神戸を抜いて福岡がベスト5に入った。
そんな中、福岡県のJR博多駅に「KITTE博多」がオープンした。その経済効果は数百億円と言われている。ここは博多郵便局があった場所であり、日本郵便が丸井グループのテナントを取り入れ、約180店舗を展開している。「KITTE」の名前の由来は「切手」を貼る郵便物が大切な人へ大切な思いが届くのと同じように、商品やサービスに込められた思いを届けることにある。
近年、JR博多駅前と天神周辺では商戦が相次いでいる。どちらも福岡県民にとっては娯楽の街であり、両者は常に競い合っている場所である。
商戦に先駆け、天神地区では「天神ビックバン」と呼ばれる改革を実行した。アジアの拠点都市としての役割、新たな空間と雇用を得るために、人が歩いて楽しめる街をテーマに大規模なビルの建て替えを推進している。新たな雇用が増えるということで概ね県民は喜びの声をあげているが、建て替えを余儀なくされた施設で働いていた人々のリストラを危惧する声もあがっている。
その天神に比べ、ビジネス街といった印象の強いJR博多駅前に商業施設が出来ることでまた新たな風が吹くことを県民は期待している。雇用を広げるといった意味では天神ビックバンよりも受け入れ態勢は整っているようだ。
JR博多駅は、新幹線や地下鉄があり、空港へのアクセスの利便性が高いことから福岡へ旅行者が訪れた際は必ずといっていいほど訪れる場所だ。観光客や帰省客などがお土産を買う場所としても優れており、多くの店舗が軒を連ねている。その場所にさらに遊び心が加わることにより、今まで博多駅周辺とは縁の薄かった若い客層を呼び込む狙いもあったようだ。
実際、東京にしかなかった店舗が博多にもオープンしたことで若い客層にも好評を得ている。オシャレや流行に敏感な若者は、行きたくても気軽に行くことが出来なかった東京の店舗が地元に出来ることで大いに歓迎されている。
KITTE博多が登場したことを、福岡に住んでいるTさん(50代女性)はこう語る。「最近は博多駅周辺に行くのも億劫になっていた。けれど行ってみると50代でも気後れせずに行ける施設になっていて、これからは頻繁に利用しようと考えている」こうして、足が遠のいた人々も再度博多駅周辺へ足を運ぶという現象が起きている。
すでに経済効果が表れ始めている商業施設「KITTE博多」に、これからも目が離せない。(編集担当:久保田雄城)