日本の駅もフランス並にハイセンスに? 東京駅「グランルーフ」開業

2013年09月22日 17:51

 JR東日本<9020>は「東京駅が街になる」というコンセプトのもと、「東京ステーションシティ」と命名し、東京駅周辺整備を進めているが、昨年10月の「丸の内駅舎保存・復原工事」の完成に続いて八重洲口の大屋根・デッキなどから成る「グランルーフ」を20日、開業させた。これと同時に八重洲口の交通結節機能の強化、歩行者空間の創出に向けた駅前広場の整備も行われた。

 グランルーフはグラントウキョウノースタワーとグラントウキョウサウスタワーをつなぐ約230メートルに及ぶ「光の帆」をデザインモチーフとした大屋根・ペデストリアンデッキやテナント等から構成されている。ペデストリアンデッキは南側のグラントウキョウサウスタワーの 2階オフィスロビー、北側のグラントウキョウノースタワー(大丸東京店)の 2階部分と直結しており、その間の移動がスムーズになる。東京駅構内で現在展開している公衆無線 LAN サービスをグランルーフの2階ペデストリアンデッキ部分においても提供される。地下1階から3階には商業施設(全15店舗)がオープンした。

 また、JR東日本は東京駅周辺の交通の円滑化、鉄道と二次交通との円滑な乗り換え、歩行者空間の拡充を目的として、八重洲口駅前広場整備を進めており、交通連絡機能の強化として、今回のグランルーフ完成にあわせて歩行者空間を整備し、交通広場の奥行きを約32mから約45mに拡大した。

 タクシープール及び一般車乗降場も新たに整備され、バス・タクシーを南側、一般車を北側に配置し、車両動線を明確に分離しており利便性が高まったといっていいだろう。

 環境への配慮も高木、低木の設置、換気塔壁面緑化等を行ない、四季を感じられる憩いの場を形成しており、その規模はシラカシを中心に約10 種約80本、緑化面積約3000平米メートルとなっている。また大屋根に降った雨水や中水を広場植栽の灌水に利用しており、年間CO2が約1.5トン削減される。それに加え風車付ポール照明により風力発電を行い、広場の照明に活用するなどの工夫もされている。

 隣接するグラントウキョウサウスタワーの建設地より出土した江戸城外堀りの石垣(長さ約160メートル、高さ約70センチ)の一部を活用して、外堀通り沿いにかつての名残を表現するという粋な演出もある。

 丸の内口は、「丸の内駅舎保存・復原工事」の完成により「歴史」を象徴し、八重洲口は今回のグランルーフの開業により、「未来」を象徴するというコンセプトである。これは今までの旧態然とした駅造りから脱皮して、実に心躍る出来事であると言っても過言ではない。実際に訪れてみると、まるでフランスの高速鉄道・TGVの駅のようにアーティスティックである。(編集担当:久保田雄城)