東京商工リサーチによると、2016年4月の「東日本大震災」関連倒産は9件(前年同月8件)だった。2カ月連続の1桁台で収束傾向を辿っていることに変わりがないが、2015年3月以来1年1カ月ぶりに前年同月を上回った。累計件数は、震災から5年を経過して1,721件(4月30日現在)に達したという。
2016年4月の倒産事例としては、宮城県の大場商店ある。同社は、明治45年創業の酒類・食料品の卸売会社。東日本大震災では直接の被災こそなかったが、津波で浸水した地域に顧客が多かったため業績への打撃を避けられなかった。慢性的な赤字経営が続くなか、抜本的な経営改善が図られず破産を申請した。
また、中古自動車販売の弐志は、震災による津波で、仙台港に荷揚げされていた所有車両(オークションで落札)が流出し多額の損失が発生した。このため苦しい資金繰りが続き、支えきれなくなり破産を申請した。
「震災関連」倒産の累計1,721件を都道府県別でみると、最多は東京の526件(4月2件)。次いで、宮城140件、北海道82件、神奈川71件、福岡70件、千葉66件、茨城64件、岩手62件の順だった。震災関連倒産は1桁台で推移し、収束傾向が続いているが、震災のダメージから脱却できない企業はまだ多いとしている。(編集担当:慶尾六郎)