2012年にGoogleが世界各国で実施したスマートフォンに関する調査によると、アラブ首長国連邦でスマートフォン普及率が60%を超えたのを筆頭に、サウジアラビア、ノルウェー、オーストラリア、スウェーデン、英国の6カ国で、50%以上の普及を達成していることが分かった。日本国内でも、スマートフォンの利用者は、すでに個人利用、法人利用ともに4割を超えており、2013年度中には過半数を上回ると見られている。
スマートフォンの爆発的な普及のいちばんの理由は、何といっても手軽にインターネットにアクセスできることだろう。実際、従来の携帯電話利用者に比べて、スマートフォン利用者の方がインターネット検索やFaceBookなどのソーシャルメディアサイトを圧倒的に利用している。
ところが、昨年後半あたりから、スマートフォンの形状に変化が見られはじめた。液晶画面サイズの巨大化である。サムスンのGalaxy Noteシリーズなど、タブレットの機能を併せ持った5インチから7インチのスクリーンを持つスマートフォンが登場し、予測以上の人気を集めた。発表当初は「中途半端なサイズで使いづらいのでは?」と懸念する否定的な声も多かったが、スマートフォンよりも画面が見やすく、タブレットよりも持ち運びしやすくて使い易いと、ユーザーの反応は好評を得ているようだ。海外では「ファブレット」という造語でも呼ばれ、大きな注目を集めている。
また、メーカー側も2013年の販売戦略の軸の一つにファブレットを置いており、今年は新機種の発売ラッシュが予想される。代表的なところでは、Huawei Ascend mate (6.1インチ)、ZTE Windows Phone (5.9インチ)、Sony Xperia (6インチ)、Pantech性スマホ (5.9インチ)、Galaxy Note III (6.3インチ)などが挙げられる。
ファブレットがユーザーに歓迎される理由の一つに、端末の利用方法の変化がある。スマートフォン利用者の多くが、通話よりも、動画の視聴やサイトの視聴に時間を費やしているので、通話のし易さよりも、閲覧のやり易さなのだろう。
スウェーデンの通信機器メーカー・エリクソンが発表した、世界の携帯電話市場の最新動向調査報告書『エリクソンモビリティレポート』によると、スマートフォンのデータ通信量は現在から2018年までの間に4倍も拡大する見通しをたてているほか、バークレイズもそれに伴って、3年以内にファブレットの市場が4倍に膨れ上がると試算している。
世界的には、すでにファブレットのシェア争いが始まっており、先日、米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」においても、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)などがファブレット端末の新機種を発表している。ファブレットが、スマートフォンやタブレットに台頭するのか、それとも一時の勢いだけで終わってしまうのか。今年の各社の動きに注目したいところである。(編集担当:樋口隆)