アベノミクスの失敗「消費行動の見方を誤った」 菅元総理

2016年06月06日 10:21

アベノミクスの失敗は国民の消費行動の見方を誤ったから。富裕層を豊かにしても欲しいものは手に入れていて「お金を持っている安心感」の方が幸せを感じる。消費拡大には低所得者層の所得を増やす政策こそ必要だ、と菅直人元総理はアピールする。

 菅元総理は「国民の消費行動は根本的に変わっている」とし、「1960年代、テレビや洗濯機といった三種の神器が飛ぶように売れ、高度成長時代には車やクーラなどが売れた。お金があれば買いたい『物』はたくさんあった時代。今日の時代、富裕層は欲しい物はすでに手に入れ『お金を持っている安心感』のほうが幸せを感じる時代だ。富裕層に手厚い経済政策を打っても資産拡大に振り向けるだけで、個人消費は全く増えなかった。アベノミクス失敗の最大の原因だ」と指摘した。

 そのうえで、菅元総理は「所得の低い層の所得が増える政策が必要だ」とする。「所得の低い層では育児や介護、住宅などお金があれば買いたいサービスや物はたくさんある。また、景気にとって増税はマイナスという短絡的な考えは間違っている。減税するとそのお金は納税者に戻り、個人消費にフリ向けられるがその代わり税収が減るので保育や介護で働く人の給与の財源が減り、その分野の消費が減少する。増税の場合、納税者の可処分所得は減るが、その税収で保育士や介護の人件費を引き上げて個人消費を増やすことにつながる。どういう使い方が人々にとって、より大きな幸せを提供できるかという政策選択の問題」と分配の問題だとした。(編集担当:森高龍二)