太陽光関連企業の倒産が増えている。太陽光の買取価格は4年連続で引き下げられており、企業向け、家庭向けともに大幅に下落した。急速な市場拡大から数年、最近では一部業者に対する信用不安が囁かれるなど、状況が変わりつつある。帝国データバンクでは、2006年1月から2016年5月までに151社あった太陽光関連企業の倒産(法的整理のみ、負債1000万円以上)について、倒産件数・負債総額の推移、倒産態様・負債規模別、資本金別、地域別・県別、業歴・代表者年齢を調査、分析した。
それによると、太陽光関連業者の倒産件数は、2013年が17件、2014年が21 件、2015年が 36件と増加している。2016年1~5月の倒産件数は17件と前年同期の13件を上回り、年率換算では通年40件ペースと増加基調にある。
一方、負債総額は2013年が47億4800万円、2014年が44億8200万円、2015年が91億2700万円となっている。2012 年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)が導入された。しかし、2012年度に企業向けが1キロワット時40円、家庭向けが同42円だった買取価格は4年連続で引き下げられており、2016年度は企業向けが1キロワット時24円、家庭向けも25‐33円へ大幅に下落した。業界環境は悪化、倒産件数も増加傾向となっている。
2006年1月から 2016年5月までの関連企業の倒産件数は151件。「倒産態様別」では、そのうち「破産」が143件と全体の94.7%を占め、「民事再生法」が 7 件、「特別清算」が1件となっている。
「負債規模別」では、「1000万-5000万円未満」が54件で全体の35.8%を占め、次いで「1億-5億円未満」が53件(構成比35.1%)、「5000万-1億円未満」が 23件(同 15.2%)となった。負債1億円未満の小規模倒産が全体の 51.0%を占めている。
一方で、負債50億円以上の大型倒産は長らく発生していなかったが、今年に入って日本ロジテック協同組合(東京都、2016年4月破産開始決定、負債約162億8244万円)が倒産している。
「地域別」では、「関東」が59件と全体の39.1%を占めた。次いで、「九州」の 30件(構成比19.9%)、「中部」の25件(16.6%)、「東北」と「近畿」の14 件(それぞれ9.3%)と続く。ちなみに、「関東」の中では東京都が21件ともっとも多く、「九州」では福岡県が13件、「中部」では愛知県が12件、「東北」では宮城県が12件、「近畿」では大阪府が10件を占めている。
2012年7月に始まった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)を機に、太陽光関連の市場は急成長、太陽電池出荷量は2012年度の437万から 2014年度の987万キロワットへ拡大した(出荷量は太陽光発電協会調べ)。しかし、バブルは瞬く間に終息し、2015年には795万キロワットへ減少、環境は一変している。
ここにきて、太陽光関連企業はさらなる曲がり角を迎えている。次世代エネルギーの中で太陽光の相対的な地位は低下し、買取価格の引き下げで採算確保が困難となるなか、事業モデルの再構築を迫られているからだという。今後、業界に本格的な再編・淘汰の波が押し寄せるかもしれないとしている。(編集担当:慶尾六郎)