電力小売り参入は大企業、大都市中心

2016年03月07日 19:03

 4月に迫った電力小売自由化の全面スタートに向け、電力小売市場がにぎわいを増している。この分野に参入するとして経済産業省に登録されたのは2月23日現在で199社。これはその前の発表である2月8日に比べて30社増えている。同省によると審査中の案件がさらに107件あるという。東京商工リサーチでは、どのような企業が参入を目指しているのかを調べた。

 同リサーチの調べによると、登録事業者199社の資本金別では1億円以上が113社と56.7%を占めた。「豊富な資本背景をもつ大企業中心の構図が裏付けられた」としている。大手では、JXエネルギー、丸紅、伊藤忠商事、三井物産、ソフトバンクグループなどが目立つ。

 登録事業者の本業では、電気業は63社(31.6%)にとどまり、異業種からの参入が7割を占めた。異業種参入組では放送業29社(14.5%)、ガス業17社(8.5%)など、地域に知名度が浸透している企業が目立った。放送業29社のうちケーブルテレビ最大手のジェイコムグループの地域会社が25社を占める。「新規事業で既存の事業基盤を活かして有利に顧客囲い込みを図る狙いがあるとみられる」という。

 また、登録事業者の本社所在地を地区別でみると、関東が125社(62.8%)、近畿26社(13.0%)、九州19社(9.5%)となっている。さらに関東を詳しく見ると、東京都が90社にのぼり、登録事業者全体の半数近くを占めた。

 同リサーチの調べでは、経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」の集計で電力の購入先変更を申請した件数は全国で約23万4,000件にのぼるという。このうち、東京電力管轄が16万4,000件、関西電力管轄は6万件と全体の95.7%を占める。 同リサーチでは、「電力小売全面自由化の特徴は、地域の電力会社以外からの電力購入や住んでいる自治体などが運営する登録事業者から購入する電力の「地産地消」が可能になること。現状では人口が集中する都市圏の選択肢が豊富なだけに、都市圏と地方との地域格差を抱えてスタートすることになりそう」と分析している。