燃費不正問題で先行きが不透明な三菱自動車工業。問題の発覚からわずか3週間後に日産自動車が出資を公表し、三菱自を傘下に収めることになったが、三菱自は過去にもリコール隠し事件を起こしており、度重なる不祥事で信用が地に落ちている。
燃費不正問題で先行きが不透明な三菱自動車工業<7211>。問題の発覚からわずか3週間後の5月12日、日産自動車<7201>が出資を公表し、三菱自を傘下に収めることになったが、三菱自は過去にもリコール隠し事件を起こしており、度重なる不祥事で信用が地に落ちている。
リコール隠し事件では、1977年から約23年間にわたって、10車種以上約69万台にのぼる不具合情報を隠蔽していた。リコールにつながる不具合であるにも関わらず、当時の運輸省へ報告していなかったのだ。一連のリコール隠しによって欠陥車を放置した結果、2002年に2件の死亡事故が発生。信用を失って販売台数が激減し、さらには当時筆頭株主であったダイムラークライスラーに資本提携を打ち切られ、廃業の危機に陥ったことがある。
その後は三菱グループの救済によって危機を脱し、近年では低燃費車に人気が集まっていたが、またもやユーザーを裏切る不祥事を起こしてしまった。具体的な業務提携に関しては、日産も慎重な姿勢を見せている。三菱自が抱えるリスクを日産が抱え込むことになるからだ。資本業務提携の正式契約では、「重大な悪影響があると合理的に見込まれる事実、または事象が発見されていないこと」を出資条件としている。
台湾・鴻海精密工業も、シャープ<6753>への出資を巡って、偶発債務を理由に条件を見直しており、三菱自と日産も条件が変わる可能性は十分にある。
6日、全国軽自動車協会連合会などが発表した5月の車名別販売台数によると、燃費偽装が発覚した三菱自の「eKワゴン」「eKスペース」、三菱自から供給を受けていた日産「デイズ」「デイズルークス」の販売がゼロに。燃費データを不正に測定してきたスズキ<7269>も、「ワゴンR」が28.4%減、「ハスラー」が20.9%減に落ち込み、各社ともに影響が数字となって現れている。
三菱自は今回も不死鳥の如く復活を遂げられるだろうか。ユーザーの信用を取り戻すためにも不祥事を繰り返してきた風土を一新してもらいたい。(編集担当:久保田雄城)