東京電力福島第一原発事故で当時「メルトダウン(炉心溶融)」の公表が遅れた問題について『東京電力が設置した第三者委員会』が炉心溶融を炉心損傷と説明したのは「官邸から慎重な対応をするよう要請を受けていたと理解していたと推認される」とする報告書をまとめたことにについて、事故当時、官房長官だった民進党の枝野幸男幹事長は17日、「当事者への聞き取りも、新たな事実指摘も、合理的説明もないまま取りまとめ、菅直人総理(当時)または官房長官(当時)が要請したと受け止められかねない内容を一方的に公表している」とし「東京電力と第三者委員会への法的措置を含め、公平・公正な事実関係解明に向けた対応に着手する」と発表した。
第三者委員会と称する委員会メンバーには政治資金の公私混同疑惑問題で今月21日に辞任する舛添要一都知事が設置した第三者委員会メンバーの佐々木善三弁護士が入っており「舛添都知事の疑惑調査や小渕優子経済産業大臣(当時)の疑惑調査を担当し、『第三者性』に疑問の声が上がっている人物」と公平性が担保されているのか疑問を提起したうえで「第三者委員会のメンバーが真に第三者性を有しているのか、本調査までの委員会メンバーと東京電力との関係の有無や今回の調査についての委託内容について明らかにする必要がある」とした。
今回の報告書は菅直人元総理や枝野幹事長の信用・名誉の棄損に留まらず、「東京電力と民進党では原子力政策で立場が異なる中、参院選挙を目前に、このような不誠実な調査結果を第三者委員会報告書と称するものを公表することは選挙妨害の疑いも免れない」とした。
また「官邸の要請を推認し、総理及び官房長官の関与を示唆しておきながら、両名をはじめとする東京電力の部外者に対する聞き取りなどはなされていない」とし「東電による一方的な釈明をならべたものとなっている。にもかかわらず、『第三者』性があるかのごとく印象付けているのは、はなはだ不誠実」と事実関係を調査する上で当時の総理や官房長官というキーマンへの聞き取りもないまま、報告書が仕上がっていることに、報告書の内容に疑問を投げた。
枝野幹事長は特に報告書が「官邸側から要請を受けたと推認しながら、官邸側の誰から具体的にどのような指示ないし要請を受けたかを解明するに至らなかったとしている。誰がどう指示したのかわからないと言いつつ、東京電力当事者の証言のみに依拠して指示又は要請を推認するのは事実認定の在り方としてはなはだ不誠実だ」と報告書作成に至る調査の在り方、客観性・公平性への疑問を強く打ち出した。(編集担当:森高龍二)