AIとは、人間の脳が行っている思考・推測・記憶などの知的作業を、コンピュータなどの機械で代替する技術を指す。日本においてもAIの導入が盛んになり、我々にとってなくてはならない存在になるのも時間の問題だが、各所から懸念の声が挙がっている。
AI(人工知能)とは、人間の脳が行っている思考・推測・記憶などの知的作業を、コンピュータなどの機械で代替する技術を指す。日本においてもAIの導入が盛んになり、我々にとってなくてはならない存在になるのも時間の問題だろう。
直近では、三井住友銀行<8316>が、AIを使って最適な金融商品を顧客ごとに提供できるよう、脳科学を用いて顧客の投資パターンをあらかじめ分析する作業をスタートすることが6月11日にわかった。
また、トヨタ自動車<7203>は今年1月にTRI(Toyota Research Institute)を米国に設立するなど、AIの研究に熱を入れている。Googleのロボット事業を担う中核子会社の買収を進めているとの情報もあり、ロボットの開発体制の強化を図る狙いがあるとみられる。
AIの新たな可能性に期待する声が挙がる中、AIが人類の敵になるのではないかと懸念を表明する著名人が増えているという。スウェーデンの哲学者ニック・ボストロム氏は、「AIが知性の点で人類を超える時、絶滅の脅威に晒される可能性がある」と論じている。Googleはこうした懸念に応えて、「非常ボタン」のような仕組みを開発中と発表。非常ボタンがあれば、AIが人類に背く恐れがある場合に、人為的な操作で回避することができるようになる。
さらに、ホワイトハウスもAIというテクノロジーをいかに制御し、活用していくのかを検討していくと発表している。テクノロジーが複雑化し、高性能化していくとなると、制御や予測が可能で安全なものであることをどのようにして見極めるのかという問題が出てくる。
現時点では、各システムのアプリケーションに制限が多く、人間に依存している状態ではあるが、機械に情報をインプットする時に人間がミスを犯せばどうなるか。大昔から失敗を繰り返してきた人間が機械にデータを組み込むのだから、ミスの確率が0%になることはないだろう。
将来、AIを確実にコントロールしていくためにも、人間が手綱を握っているうちに土台を固める必要がある。Googleの「AlphaGo」が世界最強の囲碁棋士を制したのが記憶に新しいが、AIの一部はすでに人間の能力を超えようとしているのだ。映画の世界のように、人類自らが破滅の道へ進まないことを願いたい。(編集担当:久保田雄城)