今回の参院選挙。問われているのは経済政策の選択に加え、改正する憲法の具体的条項こそ示していないが「現行憲法を堅持するのか」「憲法改正を是とするのか」。国の進路の分岐点になる重要な選挙になる。
国会で多数議席を持つ自民党憲法改正草案を軸に考えれば、天皇は「国家元首」と規定し、『元号』を憲法に規定し天皇制を強める色合いが強くなっているほか、自衛隊は「国防軍」とし、集団的自衛権は限定的なものでなくす。一方、「基本的人権の永久不可侵規定」(97条=この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである)は削除する、など国家の形とその後の進路を大きく変えるものになる。それを踏まえた、前段の国政選挙の意味を有する選挙といえよう。
そこで、最大の注目点は『憲法改正発議』ができる参院での3分の2の議席を改憲勢力(、自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党)が確保するのか、どうかだ。日本の進路を占う大きな意味を持つ。
マスコミ各社の選挙序盤の調査結果では「改憲勢力」が参院で3分の2をうかがうとしている。
今回の選挙は選挙区「73」に225人。比例代表「48」に164人が立候補。党派別では自民73人、公明24人、民進55人、共産56人、社民11人、生活5人、おおさか28人、こころ15人、改革10人。諸派74人、無所属38人。
自民は非改選の65議席を足すと単独で参院の過半数(122)に届く勢いと報じたところもある。公明党も今回選挙区で立候補の7人全員に当選の可能性など、総じて与党優勢。
野党側では民進は民主時代より議席を伸ばす。共産、おおさかも議席を増やすとしている。調査結果は各社、同傾向のようだが、改憲勢力が3分の2になれば、安倍総理は衆参の憲法審査会での審議を急ぎ、2018年9月までの自民党総裁任期中に国民投票に駒を進めるだろう。参院選挙は『憲法改正』を問う選挙であることを踏まえた自覚と責任が有権者一人一人に求められている。
また安倍総理は「衆院を解散する代わりに、参院選挙で国民に信を問う」とし、選挙に臨んでいる。今回、改選数のうち、61議席を与党で確保すれば「国民の信任を得た」ことになり、労働法制見直し、原発再稼働、憲法審査会での審議の加速、自衛隊の人員・装備の増強、TPPなど「参院選挙公約に記載している」こうした事項の加速も理解しておいた方がいい。有権者は各党の選挙公約、候補者がめざすもの、歩んで来た道を出来るだけ知って、納得できる人に「1票を」投じたいものだ。(編集担当:森高龍二)