東京商工リサーチによると、2016年6月の「東日本大震災」関連倒産は4件(速報値:6月30日現在、前年同月12件)だった。速報値ながら、調査を開始した2011年3月以降では、2015年10月と並ぶ最少にとどまり、収束傾向が強まった。ただし、累計件数は震災から5年を経過して1,734件(6月30日現在)に達した。
倒産事例として、写真現像、フィルム・カメラ機器販売のカメラの坂上(TSR企業コード:170138518、法人番号: 7400002011493、岩手県)は、大型商業施設内のショップなど4店舗を営業し、平成13年には1億3,000万円の売上をあげていた。しかし、デジタルカメラの普及からフィルム販売や現像業務の需要が落ち込み減収傾向が続いていた。こうしたなか、東日本大震災による津波で商業施設ごとショップが流失し、多額の損失が発生した。その後は、1店舗のみで営業していたが業績低迷から事業継続を断念して破産を申請した。
震災関連倒産は1桁台が続き収束傾向が目立つが、長らく事業停止にあった状態から法的整理に踏み切る企業もみられ、今後もこうしたケースが発生する可能性があるとしている。
2016年6月の地区別は、関東が2件、東北2件だった。東北は宮城と岩手。「震災関連」倒産の累計1,734件を都道府県別でみると、最多は東京の530件(6月1件)。次いで、宮城142件、北海道82件、神奈川71件、福岡70件、千葉67件、岩手65件、茨城64件、群馬58件、栃木51件、静岡48件、福島46件、山形45件、大阪44件、埼玉43件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は351件(構成比20.2%)だった。
「震災関連」倒産の累計1,734件を産業別でみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の457件(6月3件)。次いで、製造業が393件(同1件)、卸売業が321件、建設業が214件、小売業が160件と続く。
被害型で分類すると、「間接型」1,583件(構成比91.2%)に対して、「直接型」は151件(同8.7%)だった。6月は「直接型」が1件(岩手)発生した。(編集担当:慶尾六郎)