日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が7月6日に車名別新車販売の2016年1~6月累計実績と2016年1~6月期のブランド別(メーカー別)新車販売確報を同時に発表した。
それによると、登録車(含む輸入車)と軽自動車の新車販売台数累計は、254万7310台。前年実績を13万台ほど下回り、前年比95.2%となった。
まず、車名別新車販売の2016年1~6月累計販売実績結果を列記する。カッコ内は前年同期比。
1)トヨタ・プリウス 142562台(199.7%)
2)ホンダN-BOX 95991台(89.7%)
3)トヨタ・アクア 89409台(73.7%)
4)ダイハツ・タント 89361台(102.0%)
5)トヨタ・シエンタ 61054台(800.4%)
6)ホンダ・フィット 58672台(86.9%)
7)スズキ・アルト 55736台(91.8%)
8)日産ノート 51575台(94.7%)
9)日産デイズ 51370台(58.8%)
10)ホンダN-WGN 47479台(84.4%)
11)スズキ・ハスラー 46062台(83.7%)
12)スズキ・ワゴンR 45359台(78.4%)
13)トヨタ・ヴォクシー 44377台(98.9%)
14)トヨタ・カローラ 43274台(79.9%)
15)スズキ・スペーシア 42181台(93.4%)
16)ダイハツ・ムーヴ 41487台(55.6%)
17)ダイハツ・ミラ 40283台(77.4%)
18)ホンダ・ヴェゼル 39183台(102.5%)
ダイハツ・キャスト 39183台(──)
20)トヨタ・ヴィッツ 36771台(92.2%)
結果を見ると、唯一10万台超の実績をあげた「トヨタ・プリウス」人気に圧倒された格好だ。また、ベスト20車種の半数以上を軽自動車が占めた。さらに、登録車9車種中7車種は、ハイブリッド車(HV)専用モデルかHVをラインアップするモデルだ。残る2車種は日産ノート、トヨタ・ヴィッツで、共にトヨタ&日産を代表するコンパクトハッチだ。ミニバンはトヨタが2車種、ヴォクシーとシエンタをランクインさせ、ともにHVをラインアップする。SUVでは、ホンダ・ヴェゼルが相変わらず強い。これもHVが売れ筋グレードだ。
こうして数字を眺めると相変わらず「HVと軽自動車の強さが、日本の自動車マーケットの特徴」と言えそうだ。
これら統計数字を受けて日本自動車工業会などは、「2016年の自動車販売が500万台を割り込む」との予想を発表している。そうなると、東日本大震災のあった2011年以来、5年ぶりの低水準となる。定評ともなった“若者の自動車離れ”や“カーシェアリングサービス”といった構造的な要因のほか、2014年の消費増税以降の販売不振から抜け出せない。三菱自動車やスズキの燃費データ不正問題も追い打ちをかける。
日本国内の新車販売は1990年のバブル経済の残像が残る年に記録した777万7000台をピークに右肩下がりの傾向が続く。ただ、前述の大震災以降、前年実績を超える数字を残してきた。
今年ついて言えば、4月に発生した熊本地震の影響でトヨタやダイハツなど完成車組立工場を長期間休止したことも納車の遅延など販売に影響した。三菱自やスズキの燃費不正問題も逆風だ。燃費データ改ざんが明らかにされた三菱自のeKワゴンや同社がOEM供給する日産デイズなどは4月20日から販売を中止した。同様の不正があったスズキは生産販売を続けてはいるが、5月販売は前年比84.6%、6月も同90.7%と大きく落ち込む。
自動車各社は、この秋に向けて新型車投入で市場の活性化を目指す。トヨタとスバルはスポーツモデルの「86」「BRZ」のエンジンを含め大規模なマイナーチェンジを実施して8月から販売する。トヨタのプラグインハイブリッド車(PHV)の新型プリウスPHVも秋に登場。スバルは新型インプレッサを投入するし、日産は人気ミニバン「セレナ」をフルモデルチェンジする。噂ではどちらもHVモデルが有望だ。ホンダもミニミニバンでトヨタ・シエンタ対策としてフリードHVを新型にスイッチする予定。燃費問題の渦中にあるスズキも新型ワゴンRで回生を目指す。(編集担当:吉田恒)