日本の景気は今、どの様な状況にあるのか。
政府が6月17日にまとめた月例経済報告によると、景気の現状について大きな変化はみられないとして「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」という景気判断を維持している。
また、個人消費と企業の生産に関しては「おおむね横ばい」という判断をともに据え置いた一方で、企業収益に関しては「高い水準にあるものの、改善に足踏みがみられる」として判断を下方修正。その背景には円高や中国経済の減速などの影響で業績が伸び悩んでいることがあげられる。消費者物価については物価の動きを示す指標が低下したことを受け「このところ上昇テンポが鈍化している」と表現を改めた。
具体的に市場を見てみよう。日本百貨店協会が発表した「平成28年5月 全国百貨店売上高概況」によると、5月の売上総額は4629億円余りで5.1%減となり、3か月連続のマイナスに終わっている。同協会では、その理由として、大規模店も含め、店舗規模別でも全体的なマイナス基調にあることや訪日外国人の購買単価の下落、売上高の約97%を占める国内購買客の消費マインドの低下などを挙げている。
住宅業界も同様に先行き不透明な状況が続いている。不動産経済研究所の調べによると、2016年5月のマンション市場動向・首都圏・新築発売、契約率は70%台に回復したものの、依然として前年同月比で供給数の減少が続いており、これで6カ月連続の減少となった。消費増税の先送りやマイナス金利政策の導入などが、今後どのように影響してくるか注目される。とはいえ、同じ不動産業界の中でも、一棟ごとの単価アップや原価、固定費の改善、独自のブランド戦略などで大幅な利益改善を実現しているアキュラホームのようなハウスメーカーもある。
また、日本自動車販売協会連合会による2016年5月の新車販売台数確報をみると、ホンダ、トヨタ、ダイハツなどがかろうじて横ばいであるほかは、軒並み減少している。とくにマツダなどは前年比63%とかなり苦戦している模様だ。
住宅業界と自動車業界の動向を見比べてみると、いずれにしてもそのメーカー独自の特色やブランドが色濃く打ち出されている企業と、そうでない企業とでは大きな違いがあるように思える。前者は政治や景気の影響を受けにくく、比較的安定した業績を維持しているようだ。(編集担当:松田渡)