【総合流通、コンビニの2016年3~5月期決算】流通大再編はファミマとユニーの次もある?

2016年07月11日 20:13

 ■コンビニは既存店売上高が伸びなくなってきたが

 小売業の総合流通、コンビニ業界主要各社の2016年3~5月期(第1四半期)決算がほぼ出揃った。

 総合流通グループは、セブン&アイHD<3382>はトータルの連結決算では営業収益3.2%減、営業利益は0.5%減だが四半期純利益は2.2%増で最終増益だった。四半期純利益の通期見通し(通信販売事業を除く)に対する進捗率は23.4%となっている。

 GMSのイトーヨーカ堂、ヨークベニマルが属するスーパーストア事業は営業収益が0.4%減で、1.6%増の前年同期から悪化。一方、営業利益は8.1%増で、19.5%減の前年同期と比べて採算は改善している。イトーヨーカ堂は既存店売上高のマイナスが続き粗利益率も悪化しているが、販売促進策を見直した効果が出た。その営業利益の通期見通しに対する進捗率は26.8%。営業収益で全体の3分の1以上を売り上げても、営業利益は全体の8%しか稼げない。同社は鈴木敏文氏が会長職、村田紀敏氏が社長職を正式に退き、経営が大きな節目を迎えている。

 イオン<8267>は、トータルの連結決算では営業収益は1.3%増で前年同期の17.9%増と比べて伸びが大幅に鈍化。前年同期は55.4%の大幅増だった営業利益は5.8%の減益に変わり、四半期純損益は前年同期の50億円の黒字から62億円の赤字に転落した。前年同期の特別利益74億円がなくなったことが大きい。熊本地震の影響による特別損失は19億円だった。

 業績不振の元凶はやはりイオンリテール、イオン北海道、イオン九州が属するGMS事業の不振で、部門の営業収益は12.4%増でも、新規出店やダイエーからの店舗引き継ぎがなければ事実上減収。衣料品や日用品が売れていない。営業損益は93億円の赤字で、新規出店や店舗改装などの費用がかさんで、赤字幅は前年同期から45億円拡大した。コスト削減効果が出た食品スーパーなどSM・DS事業、好調なドラッグ・ファーマシー事業、総合金融事業は営業利益が伸びていた。

 ユニーGHD<8270>は、トータルの連結ベースでは営業収益0.4%増、営業利益98.7%増(約2倍)。前年同期の減収減益から持ち直したが、四半期純損益(最終損益)は114億円の赤字で前年同期に比べて赤字幅が87億円も拡大した。

 それはコンビニエンスストア事業で、サークルKサンクスのファミリーマートとの店舗統合に伴い不採算店舗、店舗システムなどで多額の減損損失(特別損失)を計上したため。アピタなど総合小売事業(GMS)は営業収益0.2%減だが、営業利益は前年同期比で特別損失の計上額が大幅に減り362.6%増(約3.6倍)。その四半期純利益の第2四半期見通しに対する進捗率は86.8%。ユニーGHDは9月1日のファミリーマートとの経営統合に伴い8月29日に上場廃止になる。

 コンビニは新規出店が依然旺盛で、全社の全店売上高は今年5月まで39ヵ月連続プラスが続いている。それから開店後12ヵ月未満の新店分を除いた既存店売上高は、2015年4月から今年2月まで11ヵ月連続でプラスだったが、3月と5月はマイナスになった(日本フランチャイズチェーン協会「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」)。コンビニが「新店も既存店も良い」と言われたのは前期の話で、今期は全体的に既存店売上高が伸びなくなっている。

 セブン&アイHDのコンビニエンスストア事業(国内、海外のセブンイレブン)の営業収益は3.7%減。前年同期は6.0%減だった。営業利益は4.2%増で前年同期の11.5%増から増益幅が圧縮。営業利益の通期見通しに対する進捗率は21.8%。既存店売上高の伸びと粗利益率の改善で増益を維持している。

 ローソン<2651>は営業総収入6.2%増、営業利益8.8%減、四半期純利益14.3%増で最終2ケタ増益。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は24.8%。国内コンビニの既存店売上高は前年同期比1.0%減。客数も客単価も平均日販も低下したが、第1四半期に67店舗を出店した新店効果で補った。粗利益率は前年同期の20.5%から21.0%に改善しており、営業減益は販促費や店舗改装費の積み増しによる。最終増益は、前年同期に不採算店舗の閉店に備える費用を前倒し計上して発生した減損損失が消えることによる。

 9月1日にユニーGHDと経営統合し、「サークルKサンクス」ブランドが2018年に「ファミリーマート」に統合される予定のファミリーマート<8028>は、営業総収入は3.1%増、営業利益は5.9%減で前年同期の2ケタ増収増益から業績悪化。第1四半期は昨年12月に吸収合併したココストアからの転換店も含めると国内で243店舗を新規出店し、台湾など海外の店舗数は83店舗も増えた。その出店費用が重荷になっている。一方、前年同期はリストラ費用の負担が重く2ケタ減益だった四半期純利益は2.7%減と、減益幅が圧縮。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は15.0%だが、その通期見通しは経営統合の効果を織り込んでいない数字。

 「サークルKサンクス」を運営するユニーGHDのコンビニエンスストア事業の3~5月期のセグメント業績は、営業収益は6.5%増、営業利益は24.8%増。四半期純利益の第2四半期見通しに対する進捗率は49.1%。最後のがんばりをみせている。

 ■流通業の主軸業態はもうすでにGMSではなくてコンビニ

 小売業大手の今期、2017年2月期の業績見通しは上方修正も下方修正もなかった。

 年初からの円高、株安による国内景気見通しの停滞感は、6月の英国のEU離脱でさらに長引きそうで、個人消費への影響は避けられそうにない。2017年4月に予定されていた消費税率の10%への再引き上げは延期されたが、そのため直前数カ月の駆け込み需要は消えてしまった。インバウンド消費も4月の中国政府の関税率引き上げの影響で成長の勢いが止まっている。

 業態別に言えば、利益を稼げないGMSはもはやリストラの対象でしかなく、流通業の主軸業態ではなくなった。セブン&アイHDは全国のイトーヨーカ堂の約1割にあたる20店舗を2017年2月までに、2020年までにさらに20店舗閉鎖する計画。たそがれのGMSに代わって流通業の主軸業態になったコンビニは、ファミリーマートが9月にユニーGHD傘下のサークルKサンクスを統合させる予定で、ローソンはスリーエフと資本業務提携を行った。王者セブンイレブンにM&A、アライアンスで対抗する。まだまだ競争はホットに続く。

 総合流通グループのセブン&アイHDは、傘下のニッセンHDが経営再建プランを検討中なので未定としているが、通信販売事業を除いた場合で営業収益2.1%増、営業利益7.8%増、当期純利益は増益に転じ10.1%増を見込む。GMSなどスーパーストア事業は営業収益3.1%増、営業利益は3.49倍を見込み、営業利益は2期連続の大幅減益からV字回復する見通し。ともに修正はなかった。

 イオンは売上高2.7%増、営業利益7.4%増、当期純利益66.4%増と最終利益のV字回復見込みに修正なし。グループ構造改革の効果による収益力アップを見込んでいる。商品の品質へのこだわりより、むしろ低価格品の投入で消費者の低価格志向に応えるべき時期だと、戦略を修正して臨む考え。「地方に強いイオン」だから、それは正解だろう。

 ユニーGHDは、第2四半期(3~8月期)の営業収益は0.2%減、営業利益は35.2%増。経常利益は22.2%増を見込んでいる。四半期純利益見通しは開示見送り。第3四半期初日の9月1日にファミリーマートと統合するため通期業績見通しは未定。GMS(総合小売事業)は第2四半期で営業収益0.3%減、営業利益は138.2%増(2.3倍)を見込む。

 コンビニのセブンイレブン(セブン&アイHDのコンビニエンスストア事業)は、営業収益は1.8%増、営業利益は3.7%増という控えめな見通しで修正なし。

 ローソンは営業総収入11.1%増、営業利益4.8%増、当期純利益13.1%増で修正なし。4月に神奈川県が地盤のスリーエフと資本業務提携し、共同出資の新会社を設立してスリーエフ店舗約90店舗を移籍し、9月から看板を「ローソン・スリーエフ」につけ替えるが、それに先立って6月、苦戦していた関東の12店舗を譲り受けている。

 ファミリーマートは9月のユニーGHDとの経営統合の効果を計算に入れていない数字だが、営業総収入は4.1%減、営業利益2.6%増。中期経営計画の営業利益目標1000億円の半分の500億円で、連続最高益を見込む。当期純利益は4.4%増。国内出店数は前期の約2倍の741店舗の純増を見込む。ユニーGHDのコンビニエンスストア事業(サークルKサンクス)の第2四半期の業績見通しは、営業収益6.5%増、営業利益11.9%増の増収、2ケタ増益で合流してくる。

 コンビニは出店競争より、商品やサービスなど中身で勝負する既存店の強化が戦略の重点であることに変わりはない。ファミリーマートとユニーの経営統合、ローソンとスリーエフの資本業務提携が成功をおさめれば、業態の壁を超えたような「その次」の流通大再編の話も出てくるだろう。(編集担当:寺尾淳)