ボーイングの次世代旅客機「777X」国内各社の設備投資がピークに

2016年07月16日 20:41

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富士重工業は、2017年3月期に航空機事業の設備に前期比約2.3倍の140億円を投入する計画を示した。生産コストを現行機「777」から15~20%削減する目標を実現すべく、生産の自動化を進めている。

 富士重工業<7270>は、2017年3月期に航空機事業の設備に前期比約2.3倍の140億円を投入する計画を示した。米ボーイングが開発中の次世代大型旅客機「777X」の機体部品向け自動化投資が中心で、富士重は胴体と主翼をつなぐ中央翼などを担当する。

 中央翼部材の加工などは、宇都宮製作所が担う。飛行機用のシーラント剤の塗布やサビを防止するプライマーを吹き付ける工程にアーム型ロボット、鋼板に補強材を打ち付ける工程にオートリベッター(自動打鋲機)を導入する。

 中央翼の組み立て・生産は、航空宇宙カンパニー半田工場の敷地内に新たに建設した新工場が行う。新工場の建築面積は約1万1,600平方メートル。宇都宮工場で加工した部材を7メートル四方の1枚板に仕上げ、大物部品の搬送については、現在の主流のレーンから自動搬送装置に切り替える。

 半田工場はこれまでにボーイング「777」「787」、防衛省の「固定翼哨戒機(P-1)」「輸送機(C-2)」の中央翼の組み立て・生産を担い、新工場が完成したことで世界有数の中央翼生産センターとなった。

 777X向け機体部品は、三菱重工業<7011>、川崎重工業<7012>、新明和工業<7224>、日本飛行機も参画している。各社は新工場建設や自動組み立てラインを整備中で、設備投資がピークに達しているという。

 川崎重工業は名古屋第一工場に777X向けの工場を新設し、胴体部品と補強部品の締結装置や、胴体外板を継ぎ合わせる新型のスキン・スプライス・リベッターなどを導入。他にも、高性能自動検査装置や大口径穴あけロボットなど、自社が開発した新技術を採用し、自動化によって生産効率の向上を図る。

 ボーイングは現在、航空会社10社ほどから777Xを306機受注している。17年に生産を開始し、20年に初号機を納入する予定。日本企業5社が機体の21%を分担生産する。生産コストを現行機「777」から15~20%削減する目標を実現すべく、各社がIoTやビッグデータ解析、人工知能などを組み合わせ、生産の自動化を進めている。(編集担当:久保田雄城)