カゴメ<2811>は、トマトジュースを継続して飲むことで、紫外線を浴びることにより暗くなった肌の色調の回復が早まる可能性があることを、ヒト試験により明らかにした。
肌は、紫外線を浴びると炎症による赤みを帯び、これは紅斑と呼ばれている。さらに、肌の色調が暗くなりますが、この程度は特に紫外線の照射1日後までに著しいことが知られている。
トマトは、リコピンなど強い抗酸化作用をもつ成分を多く含む。そのため、紫外線を浴びることにより皮膚で発生する活性酸素を消去することで、肌の赤みやその後の色素沈着などの皮膚のダメージを予防・軽減する効果を示すことが期待されているという。実際に、海外の研究機関による試験においては、トマトペーストの摂取が、紫外線によって生じる肌の赤みを抑制することが報告されていた。
そこで、トマトジュース(160 g 当たりにリコピンを12 mg 含む)と、高リコピントマトジュース(160 g当たりにリコピンを24 mg以上含む)を使用し、肌質の異なる日本人でも同様の効果が見られるかを、肌の赤みと明度とを指標に検証した。
今回の試験では、海外の先行研究から期待された、紫外線を浴びることで生じる肌の赤みをトマトジュースの摂取が抑制する効果は認められなかった。一方で、紫外線照射後に低下した明度の改善が確認されたことから、トマトジュースの継続飲用(12 週間)は、紫外線により暗くなった肌の色調の回復を早める可能性があると考えられた。この効果の有効成分については、今後検討していくという。
具体的なには、25歳以上50歳未満の健康な日本人の男女75名に12 mgのリコピンを含むトマトジュース、24mg 以上のリコピンを含む高リコピントマトジュース、そして対照として2 mg 以下のリコピンを含むトマト漿液飲料のいずれかを1日160 g(一缶)、12 週間摂取してもらい、上腕の内側に紫外線を照射した後の肌の赤みと明度(L値)とメラニン量(メラニン・インデックス)を経時的に測定することで肌の色調を評価した。
その結果、トマトジュースを飲んだ方と対照群であるトマト漿液飲料を飲んだ方を比較して、肌の赤みに有意な差は確認できなかった。赤みを抑える効果を報告している海外の研究では、紫外線を浴びると肌が赤くなり、その後に白く戻る肌質を持つ被験者を対象としていたが、今回は紫外線を浴びると肌が赤くなり、その後黒くなる肌質を持つ日本人を対象としている。この肌質の違いから、日本人では赤みに対する顕著な効果が見られなかったと考えられるとしている。
また、トマトジュース(トマトジュース、高リコピントマトジュース)を飲んだ方は、対照群であるトマト漿液飲料を飲んだ方に比べて紫外線を浴びることにより暗くなった肌の色調の回復が促進されることがわかった。
さらに、L値はメラニン量(メラニン・インデックス)と逆相関を示すことが知られている。試験においても紫外線照射28日後のL値とメラニン量には、有意に高い逆相関が見られ、L値の変化はメラニンの生成と関与していることが示唆された。このことを踏まえると、試験において見られたトマトジュースの飲用による L値の回復は、肌のメラニン量の減少によるものであると推察できるという。
試験において、紫外線により低下した L 値の回復が改善したメカニズムとして、(1)メラニンの生成が抑制されたことと、(2)ターンオーバーが促進されたことが考えられる。(編集担当:慶尾六郎)