遺伝子情報を保険に活用 病気になりやすい遺伝子はどうなる?

2016年04月21日 08:11

画・遺伝子情報を保険に活用 病気になりやすい遺伝子はと_うなる?

ダイエットや化粧品など、人の遺伝子情報を活用したサービスが増えているが、大手生保である明治安田生命も、”遺伝子検査ブーム”の波に乗りそうだ。

 ダイエットや化粧品など、人の遺伝子情報を活用したサービスが増えている。遺伝子情報を基に、体質や肌質に合った商品を提供するという商法である。

 大手生保である明治安田生命も、”遺伝子検査ブーム”の波に乗りそうだ。人の遺伝子情報を保険サービスに活用すべく、本格的な検討に入ったという。明確な活用方法は発表されていないが、業界関係者によると、遺伝子情報を分析した結果、発病リスクが高い人に対して、健康管理の豊富や生活習慣の改善方法などを助言し、発病リスクを低減して保険料を引き下げるといったサービスが生まれるかもしれないという。病気にかからない人が増えたら、保険会社としても保険金の支払いが少なくなり、収益にも被保険者にも嬉しい影響が期待できる。

 一方で、デメリットもある。あくまでも予想だが、病気へのリスクが高いと判明された場合、保険料が高くなったり、保険に加入できなくなる恐れがある。遺伝子情報によって顧客を差別する形になり、倫理的な問題が生じるのだ。

 アメリカでは2008年に「遺伝情報差別禁止法」が制定され、遺伝子情報に基づく健康保険に関する差別や、雇用者による差別が禁止されている。健康保険に関する差別には、加入の資格や保険料の決定なども含む。日本には遺伝子検査ビジネスに規制がないため、どの会社も自由に参入できるのが現状だ。

 遺伝子という究極の個人情報の管理をいかにして行うのかという課題もある。国内においても、不正アクセスなどで個人情報流出事件が定期的に起こる中、「安易に遺伝子情報を提供したくない」と思う人も大勢いるだろう。

 また、遺伝子解析の技術が進歩すれば、病気や死期が予測できるようになり、保険そのものが必要でなくなる時代が来るかもしれない。発病リスクの高い顧客ばかりが増え、保険ビジネスが成り立たなくなる恐れもある。

 全国の消費生活センターなどに寄せられた遺伝子検査ビジネスを巡るトラブルなどの相談は、10年までは計56件であったが、11年以降は計309件にまで増加しているという。同社の新たな挑戦が、日本における遺伝子検査ビジネスのあり方を大きく変えることになるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)