自動車保険新規加入 代理店系は選定時には人の勧めを重視 ダイレクト系は価格を重視

2016年07月17日 20:57

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. パワー アジア・パシフィックは、2016年日本自動車保険新規加入満足度調査の結果を発表した。

 代理店系とダイレクト系の自動車保険を比較すると、自動車保険選定時の意識や行動には違いはあるものの、加入後の満足度や継続契約意向の向上につながる重要な事柄は共通しているということが、調査より明らかとなった。

 代理店系加入者は自動車保険選定時に「保険会社の切替えはあまり検討しない」という割合が7割近いのに対し、ダイレクト系加入者では「更新ごとに保険会社の切替えを検討する」が6割を超える。さらに保険会社選定理由をみると、代理店系では「代理店の勧め」のほか「家族・友人との付き合い」、「家族・友人の勧め」といった“勧め、付き合い”で、ダイレクト系では「保険料が安い」といった“価格”で選ぶ人が多い傾向にある。すなわち代理店系は、選定時には人の勧めを重視し、保険会社の切替え検討をしない人が多いのに対し、ダイレクト系は、価格を重視し、更新ごとに保険会社の切替え検討をする人が多いといった、意識や選定行動には明確な違いがみられるとしている。

 しかし、加入後の満足度や継続契約意向の向上のためには、現在契約している保険の補償内容を「十分理解」してもらうということが、両者に共通して重要な要因となっているという。

 代理店系においては、保険の補償内容を「十分理解している」と回答した人の総合満足度は635点、「ある程度は理解している」と回答した人では559点、ダイレクト系においては「十分理解している」と回答した人の総合満足度は700点、「ある程度は理解している」と回答した人では618点と、いずれも80ポイント前後の差があった。また、継続契約の意向は、両セグメント共に「十分理解している」と回答した人のほうが「ある程度理解している」と回答した人よりも10ポイント前後高い。

 代理店系、ダイレクト系に関わらず、保険の補償内容について「十分な理解」を得て、顧客にとって納得度の高い契約とすることが、顧客満足度を高め、顧客との長期の関係をスタートさせるための重要なポイントとなる。しかしながら、現状では保険の補償内容について「十分理解している」割合は代理店系では18%、ダイレクト系は22%と2割前後に留まっている。また、その割合が最も多かった会社と少なかった会社の差分をとると、代理店系では8ポイント、ダイレクト系では25ポイントと保険会社による差がみられた。

 富士火災海上保険が総合満足度第1位となった。同社は総合満足度に与える影響度が最も大きい「価格」に加え、「契約チャネル」でトップ評価を得ている。第2位はAIU損害保険であり、全ファクターで代理店系保険会社平均を上回る。第3位は東京海上日動火災保険。昨年から満足度は向上しており「契約内容/契約手続き」においてトップ評価となっている。

 イーデザイン損害保険が総合満足度第1位となった。同社は昨年から満足度が向上し、全ファクターでトップとなっている。第2位はセゾン自動車火災保険であり、全ファクターでダイレクト系保険会社平均を上回る。第3位はSBI損害保険であり、「価格」でダイレクト系保険会社平均を上回る評価となっている。(編集担当:慶尾六郎)