東京海上日動火災保険が、自動運転車の公道実証実験へ参画し、同時に専用保険を開発した。併せて、大学研究機関との共同研究を開始するという。
公道実証実験に対する社会・地域住民の方々の関心は日に日に高まっており、実証実験の実施主体には今後、事前のリスクの洗い出しをはじめ、万一事故が発生した際の関係機関への連絡体制構築など、安全確保に向けた体制整備が強く求められることが見込まれるという。
このような中、同社は東京海上日動リスクコンサルティングが有する独自の事故削減/再発防止ノウハウを活かし、今後、同様の実証実験を検討している企業・大学・自治体等に展開可能な「公道実証実験向け・自動車事故リスクアセスメントコンサルティング」サービスの構築に取り組んでいくことにした。
主なサービスメニューは、公道実証実験向け「自動車事故リスクアセスメントシート」の策定支援と公道実証実験実施マニュアルの策定支援 など。また、公道実証実験の円滑かつ持続的な実施をサポートするため、従来からある公道実証実験中の自動車事故発生時の対人・対物賠償責任保険(自動車保険)に加え、新たに、従来は補償できなかった事故時の複雑化した原因究明を迅速化するための調査費用(含む第三者委員会での検証)や、同種の事故の再発防止措置費用、サイバー攻撃を受けた際のフォレンジック費用等を包括的に補償する、自動運転車の公道実証実験向け専用保険プランを開発した。実施主体・環境に応じてオーダーメイドで設計する。
一方、共同研究の開始については、自動運転技術の進展によって新たなリスク・事故形態が出現する可能性があると同時に、近い将来、事故時の高度な原因究明や、正確な事故状況把握を通じた安心と安全の提供(保険金の支払い等)といった社会ニーズの高まりが想定される。このような社会変化を捉え、4月より、金沢大学および名古屋大学との間で、それぞれ共同研究を開始することにした。主な研究テーマは、自動運転車で事故が発生した際の事故原因究明ノウハウの構築についてと自動運転車固有のリスクと当該リスク軽減策について。
これらは、技術進展に伴う新たなリスクへの先んじた対応は損害保険事業の根幹であり、同社は研究で得られた知見も活かし、引き続き、経営理念である「安心と安全」の提供の更なる実現に向けた取組みを進めていくとしている。 (編集担当:慶尾六郎)