感情認識AIを開発する米Affectivaは、企業向けITサービスを展開するCACとの日本国内初となる販売代理店契約を結び、サービスとソフトウェアの国内販売を開始した。同社は5月に1400万ドルの資金調達を実施したがCACも出資に加わっている。Pepperが音声から感情認識を行っていることは有名だが、同社の感情認識ソフトウェアは消費者の反応をキャプチャしてリアルタイムで計測し、瞬間的に生じる感情を98%の精度で分類するとのこと。現状で世界75ヵ国400万人以上の表情の分析を繰り返し、500億件に上る感情データポイントを収集・蓄積している。世界市場ではすでに市場調査やメディア、広告、ゲームなどの分野で同社のサービス・ソフトウェアが活用されており、感情認識AIの市場においては最大規模のプラットフォームとなっている。
感情認識AIの普及で様々な業界にイノベーションが起きると見られている。例えば、自動車では運転者をカメラで認識して運転者の状況判断が行われ、広告では顧客の微妙な表情からリアルタイムにレコメンド商品や手法を変化させ、ゲームではプレーヤーの表した感情によりゲームの展開が変化するようになる。医療分野では患者の感情をフォローするアプリケーションが開発可能になり、セミナーでは話し手が聞き手の興味の度合いを分析してリアルタイムに話し方や内容を修正できるようになる。将来的には多くのデバイスで感情AIを搭載することが一般的になる。それによって、ユーザーにとってより最適でパーソナライズされた選択肢が提供されるようになる。
CACはAffectivaのソフトを組み込んだ自社サービスの開発やソーシャルロボット事業を強化すること及び、製品開発、教育、人材サービスなど各分野での感情認識AI普及に注力していく意向。感情AIの産業やビジネスでの活用は今後は加速度的に広がることが予想される。顔認識の分野ではAIは現時点ですでに人間の能力を超えており、瞬間的で微細な表情の認識により人間には計り知れない知見が活用できるようになる。そういった意味で感情認識AIの日本での解禁は、様々な業界の従来の常識を塗り替える、破壊的イノベーションを起こすきっかけにもなり得る。(編集担当:久保田雄城)