高齢者人口の増加に伴い医療機関の利用者も増加し、長い待ち時間が課題となっている。@nifty何でも調査団によるアンケート調査では、病院の待ち時間の限界を「1時間」とする人が全体の44%という結果になった。なかには30分以内しか待てない人も30%おり、待たされることでストレスを感じている人がいかに多いかうかがえる。こうした中待ち時間減少など、病院での患者の負担を軽減するサービスが「国際モダンホスピタルショウ2016」(7月13~15日、東京ビッグサイト)に集まった。
「通院コンシェルジュ(仮称)」を出展した富士通は、このサービスにて患者の通院時のさまざまな負荷の軽減を実現する。外来受付に設置したビーコンに患者が近づくと、スマートフォンから自動受付が行なわれる。これにより受付に並ぶ時間と手間がなくなる。各診療部門の受付にはQRコードリーダーを設置し、スマートフォンに表示される患者ID情報入りQRコードをかざすことで受診受付が完了する。スマートフォンに院内表示板と連携した診察順が通知されるため、病院の待合室で待つ必要がなくなる。次回の予約状況もスマートフォンから可能だ。富士通は同サービスを2016年中に提供開始する意向だ。
革新的なサービスとしては「Pepper」を活用したロボット連携問診システムも展示された。病院での年齢や発熱や主な症状といった問診には意外に時間がかかるが、Pepperの提示する質問に答えることで問診を効率化する。入力された回答を医療データベースと照合し、症状に合わせた質問に移る。これによって問診時間の最適化だけでなく、優先度の高い患者を検知して医師やスタッフに通知したり、症状の見落とし防止にも期待できるという。同システムを開発するシャンティは、今年秋には10の医療機関にてテストした後、17年春にはサービス提供開始したい考え。
病院での待ち時間を最適化し、患者の負荷を軽減するだけでなくサービスの質の向上が期待できるサービスは、医療機関や患者双方にとってメリットが大きく早急な実用化と普及が望まれる。(編集担当:久保田雄城)