タブレット端末などの冷却用ファン、より小さくより静かに

2012年12月03日 11:00

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ロームは業界で初めてデジタルAGC(Automatic Gain Control)機能を搭載したホール素子内蔵のファンモータドライバを開発したと発表した。

 電子機器が高性能化・高速化し、その用途が益々広がっている一方、小型機器においては実装スペースの縮小により、小型薄型化や部品点数削減への要求が高まっている。こうした要求は、タブレット端末やノートPC、ゲーム機にLED照明など、様々な電子機器に搭載されている冷却用ファンについても例外ではない。 冷却ファンは多数の部品で構成されているが、そのコアとなるのは磁力の正負を検知する磁気センサ(ホール素子)とモータの駆動・制御をするモータドライバである。電気信号を切り替えることで磁気を発生させ、羽根と磁石を回転させている。この回転する磁石の磁気をホール素子が検知し、信号を発信。その出力信号をデジタル信号に変換するICを通じて、モータは制御されているのである。現在は信号検出制度などのモータ特製から、このホールICとモータドライバを別々に実装する2チップ構成が主流となっている。

 こうした中、半導体メーカーのロームが、ホール素子内蔵のファンモータドライバを開発したと発表した。今回開発されたファンモータドライバは、同社のお家芸とも言える独自の回路技術などにより、チップサイズを大幅に低減。モータドライバにホール素子を内蔵して部品点数を削減するだけでなく、従来のホールICと同等の小型薄型パッケージを実現している。

 この点だけでも十分に市場のニーズに応えるものであるが、さらに本製品には、同タイプとしては業界で初めて、デジタルAGC(Automatic Gain Control)機能が搭載されている。AGCとは、入力信号のレベルの大小にかかわらず出力を常に一定に保つための補助回路のこと。冷却ファンでは、羽根が回転する際に生じる上下や、磁石の磁界の個体差などにより、ホール信号の振幅にバラツキが発生する。このバラツキが騒音や回転効率の不安定さの原因となっていた。しかし今回の新製品では、AGC機能によってバラツキが常時最適な振幅に補正される。その結果、回転効率が高まり、騒音を低減することにも成功したという。

 小型化や低消費電力化、回転効率や騒音特性の向上は、一般消費者がタブレット端末やゲーム機などを購入・利用する際にはあまり意識されないかもしれない。しかし、それらの機器の快適性や機能を向上させるには不可欠な技術であり、こうした高い技術を多く持つ企業が、今後の日本経済を支えるのではないだろうか。