7月28日(木)に特別スポーツ走行が開始された、第39回鈴鹿8時間耐久ロードレース。直前の26日には六本木ニコファーレで「YAMAHA 8耐 MEDIA CONFERENCE」を開催。昨年の鈴鹿8耐では、ヤマハが13年ぶりにファクトリー体制(ワークス)で参戦し、JSB1000(全日本ロードレース選手権)では前人未到の3連覇中だった中須賀克行選手や現役MotoGPライダー2人が、見事19年ぶりに5回目の優勝を果たした。
連覇を狙うヤマハだが、前回の8耐には実に150もの改善点があったという。その半分はマシンに起因するもの。そのひとつに燃費問題があった。ライダーが頑張ったのと、運良くペースカーが入ったりして問題は表面化しなかったが、燃費は目標に達していないままスタートしたのだった。今年は出力性能や緻密な燃料コントロールを行うことで、昨年に対して約10パーセントも燃費低減を達成している。それにガソリンタンクの容量24リッターを、いかにぴったりと入れられるのかというのも重要でクリアした。
8耐マシンを開発するにあたっては「マシンの性能」「燃費」「8時間を走り切る信頼性」の3つの要素があり、今年のYZF-R1は、エンジンパワーをあげ、トラクションコントロールを中心に改良を行っているとのこと。
登壇したヤマハ発動機 技術本部MS開発部部長の辻氏は「去年は新型YZF-R1を投入して非常に不安だったが、結果EWCとSSTの2クラスでヤマハが優勝しました。レースが終わってすぐに社内で反省会を行い、150もの改善点を出しました」と語る。
今年のヤマハのファクトリー体制は2チームで臨む。ひとつは「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」。JSB1000の5連覇に王手がかかった前回に引き続き参戦する中須賀克行選手、現役MotoGPライダーで今年も参戦するポル・エスパルガロ選手、現役スーパーバイクのライダーであり、8耐は2回目となるアレックス・ローズ選手の3人。もうひとつは「YART Yamaha Official EWC Team」。世界耐久選手権に参戦中で、8耐は4回目となるブロック・パークス選手、まだ20歳ながら8耐は3回目のJSB1000ライダー藤田拓哉選手、初参戦となるJSB1000ライダーの野左根航汰選手の3人。
今年は最速の挑戦者として「be the first step Challenger」のスローガンをもとに、150もの課題をクリアし、ライダー、マシン、チームワークは昨年を上回り磐石の布陣を敷いてきたヤマハ。あと必要なのは運だけだ。(編集担当:鈴木博之)