鈴鹿8耐のもう一つのバトル! 社員チームの魅力とは?

2016年07月23日 18:40

鈴鹿8耐のもう一つのバトル! 社員チームの魅力とは?

浜松市福市長の「出世大名家康くん」や、磐田市のイメージキャラクター「しっぺい」も応援に駆けつけた。

 1978年から鈴鹿サーキットで毎年開催される、日本最大のオートバイ耐久レースといえば、”コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース。第39回大会となる今年は、エントリーできるチームの最大数が70に変更され、さらに選抜を実施したことで、実績や実力のあるチームのみが出走するということで、例年にないハイレベルな走りに注目が集まっている。

 そんななか、鈴鹿8耐に出場するヤマハ、ホンダ、スズキの社員チームの壮行会が浜松市役所前で開催された。社員チームとはあまり聞き慣れない言葉だが、バイクメーカーの社員がライダーやメカニックとして活動しているチームのこと。平日は社員として業務にあたり、あくまでも鈴鹿8耐の作業は就業後に行い、サーキットを走るのも土日と、まるで部活動のようで、ファクトリーチームとはまたひと味違った魅力があるのだ。

 ■第一回目から参加している社員チームも!

 それぞれのチームの特徴を説明しよう。まず、1970年代に結成されたヤマハの「磐田レーシングファミリー」。ライダー3人は開発部署から選ばれ、人材育成のためにピット作業は入社2~3年目の若い社員で構成されている。ヤマハのみSSTクラスで出場するのだが、改造範囲が狭められて、市販車に限りなく近いクラスだ。そのためタイヤ交換やピット作業ではタイム的には不利となる。あえてこのクラスで戦う理由は、サラリーマンが市販車のYZF-R1Mの実力を証明する、という狙いがあるからだ。2015年は総合39位につけ、今年はそれを超える成績を狙っている。

 50年以上の歴史があり、鈴鹿8耐には第一回大会から参戦している歴史あるチームが、ホンダ「浜松エスカルゴ」。ライダー3人全員が浜松地区のトランスミッション製造部に所属。ホンダの社員チームは改造範囲が広いEWCクラスにCBR1000RRでエントリーする。2014年は総合14位、15年は総合19位という好成績を残していて、社員ライダーだからと侮れない実力も兼ね備えたチームだ。

 スズキの「浜松チームタイタン」は、チームとしては43年の歴史があるのだが、実は鈴鹿8耐はしばらく欠場していた。2013年から参戦し、今年で4年連続での出場となる。ライダーはテストライダー、設計、4輪担当と部署はバラバラで、2輪レースを通して自己啓発活動を行っている。EWCクラスにGSX-R1000で参戦するが、改造範囲が多いからこそ工夫するところも多いのが魅力で、8耐マシンのノウハウを新商品に反映できると語る。昨年は完走としてカウントされなかったものの、2013年には総合23位という成績を残し、今年は20位以内を目標に掲げている。

 ■3つの浜松チームを浜松市が応援する理由とは?

 そもそも3つのチームを浜松チームとして、浜松市が応援する理由はなんだろう? ヤマハの国内工場は静岡県内にあるものの、2輪車工場は浜松市の隣の磐田市にある。ホンダは浜松市に4輪用だがトランスミッション製造工場がある。スズキは本社がある浜松市の高塚工場で二輪車を生産しているので、実際に浜松に2輪の工場があるのはスズキだけだ。そんな疑問を、鈴木浜松市長が壮行会の挨拶で解消してくれた。「大変権威のある大会に、浜松を代表するチームが出るということで嬉しく思っています。浜松はスズキ、ヤマハ、ホンダの3大メーカーの創業の地であり、かつては35社にものぼるオートバイメーカーがしのぎを削っていたという、バイクの故郷でもあります。鈴鹿8耐でもPRブースを設置して、官民協働でプロモーションを行ってまいります」つまり、3メーカーの創業の地ということで、浜松市が応援しているわけだ。

 壮行会当日は、梅雨時の不安定な空模様のせいか、観客はまばら。そのためか、社員ライダーたちは、他のチームのマシンをチェックするなど、終始ほのぼのとした雰囲気。装着パーツについて質問しあったり、さらにはマシンにまたがってポジションを確認したりと、社員チーム同士、親睦を深めていたのが印象的だった。
 
 今年の鈴鹿8耐は、7月28日(木)に特別スポーツ走行、29日(金)公式練習/公式予選、30日(土)フリー走行/TOP10トライアル、31日(日)決勝と、延べ4日間のお祭りとなる。もう一つのバトル、鈴鹿8耐の社員チームにも注目したい。(編集担当:鈴木博之)