電通<4324>は、日本の文化や強みを生かした商品やサービスを海外展開する「クールジャパン」関連事業において、顧客企業のマーケティング活動支援を目的に、2016年4~5月に20カ国・地域 で「ジャパンブランド調査2016」を実施した。
全社横断プロジェクト「チーム・クールジャパン」が実施した調査は、2011年より対象エリアやサンプル数、設問項目を追加しながら継続的に行っている調査で、親日度(日本に対する好意度)や訪日旅行意向、訪問地域とその理由、日本および日本産品に対する興味・関心やイメージなどに関する詳細データと知見の収集を目的としている。
それによると、今年の1位はタイ。2年連続1位のベトナムを0.5ポイント上回った。ベトナムは2位となり、前年同率1位の台湾は7位に転落(前年比4ポイントダウン)した。
訪日意向については、前年に続き、調査対象全体の約8割が意向ありという高いスコアを維持。訪日意向のトップはタイで、日本に対する好意度と連動している結果となった。タイでは2013年にビザ発給条件が緩和されて以来、訪日旅行客数が伸びている。またこれに伴い、日本食ブームがますます加速しているという。ラーメンはもちろん日本のスイーツ店も人気になっている。さらに日本に関する大規模イベントも行われており、JAPAN EXPOの他、2015年からはAnime Festival Asiaも開催されている(シンガポール・インドネシアに続く3カ国目)。コンテンツでは日本を舞台にしたドラマも増えている。このような日本ブームの盛り上がりが、タイの1位を後押ししていると考えられるとしている。
行きたい日本の都道府県について聞いたところ、1位は不動の東京都。2位:大阪府、3位:京都府、4位:北海道、5位:沖縄県、の順。一方、東アジアでは東京離れが前年よりも進みつつある。行きたい都道府県としての東京都は、中国では2位(前年も2位)、香港では5位(前年は3位)、韓国では3位(前年も3位)、台湾では4位(前年は3位)となった。またASEANでも、タイでは北海道が東京都を上回る結果となった。
また、都道府県ごとに地方でやりたいことの違いが出てきている。人気が高まる「北海道」と「沖縄県」に着目し、「行きたい」と思っている人が全体より10ポイント以上高い項目を見てみると、「北海道」に行きたい人が現地でやりたいと思うことは、「温泉」「桜」「雪」「紅葉」など自然や四季の体感に加え、札幌ラーメンの影響か「ラーメン」が高い傾向にある
一方「沖縄県」では、「海」「島」などの自然や四季の体感に加え、「伝統的な郷土料理」「庶民的なローカルフード」といった”食”や「歴史を感じさせる町並み」「地元の人と交流できる商店街」といった”町の雰囲気”、「世界遺産」や「戦跡(第二次世界大戦跡)」といった”史跡観光”、「地元の風土や文化を生かした民宿」が挙がる。これらはいずれも日本人が北海道や沖縄に感じるものとほぼ同じであり、各都道府県の象徴的な観光地や文化・体験などの魅力が海外にも伝わり、理解されている証しであると考えられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)